出版社内容情報
ハンニバルを倒し、カルタゴを滅亡させ、地中海の覇者となったローマ人。しかしローマに内乱の世紀が始まる。敵は自らの内にあり――書下ろし、いよいよ佳境に!
内容説明
ハンニバルを倒し、帝国カルタゴを滅亡させ、一気に地中海の覇者となったローマ人。しかし大国への道のりの速さゆえに、ローマは内部から病み始める。権力が集中しすぎた元老院に対して改革を迫る若き護民官グラックスは同国人に殺され、続く改革者たちも、内なる敵に向き合わねばならない―ローマ人はいかにしてこの“混迷の世紀”を脱脚するか。
目次
第1章 グラックス兄弟の時代
第2章 マリウスとスッラの時代
第3章 ポンペイウスの時代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
36
カルタゴを破り同盟関係を結ぶ事により、ローマは地中海全域を掌中に収める。パックスロマーナの基礎が出来たところと言った感じか。この巻は動きが小さく面白みが少ない。外敵との対立もあったが、この巻ではドメスティックな事柄を中心に進む。次巻へ。2017/11/10
夜間飛行
33
地中海の覇者となったローマでは上層部が固定化し、貧富の差が広がる。市民を活性化しようとしたグラックス兄弟は狡猾な元老院につぶされる。政治的に頓挫したその策が、しかしマリウスによる軍制改革では推進される。やがて同盟諸都市の市民権参入を巡る争いが泥沼化し、保守派も改革派も私利と憎悪にまみれ走り始める。マリウスが保守派を虐殺したかと思えば、逆襲したスッラによる粛清の嵐が吹き荒れる。ローマ人同士が殺し合いをするなんて、誰が予想しただろうか。政治とはこんな風に制御不能になってしまうものかと、つくづく考えさせられた。2013/07/03
キムチ27
32
表題通りのまさに混迷のローマ。だが塩野氏の手になると明瞭に流れがつかめだれることなく楽しめた。BC末期のローマ・・ころころ統治者が変わって行く中でマリウス、スッラの時期が面白かった。過度な劣等感に凝り固まったマリウス・・統治能力の衰えた元老院と強大化した護民官こそローマの混迷の原因と浮き上がって行く。スッラは『革袋を修理すれば』新たな酒を注いでローマが復活できると思っていたが・・。後を引き継ぐポンペイウス、クラッスス。前者は確かに偉大な人であったが「一人の人物に」はなれなかった。2014/01/09
ロビン
22
第三巻は、拡大するローマに対応できるよう共同体の仕組みを抜本的に改革しようとした護民官グラックス兄弟から、軍制改革を行い徴兵制から志願兵制に変えたマリウス、綻び始めていたローマ共和制を繕うために任期無制限の独裁官となったスッラ、そしてオリエントを平定した連戦連勝の武将ポンペイウスの物語。高貴で裕福な家に生まれながら、そうでない人たちの権利を守ろうとして殺されたグラックス兄弟の悲劇…兄弟の無私で命を惜しまない姿には感動させられた。また、スッラが利己的な独裁者でなかったことは意外であった。学ぶこと多し。2022/02/27
fu
22
1、2巻に比べればページ数が少なかったので、3巻は割合さっと読めた。ローマの内紛。ローマの同盟者による反乱や、オリエントの国の反乱制圧。しだいに都市国家ローマから世界国家ローマへ遷り変ってゆく。2015/01/17