出版社内容情報
あれから3年、誓はたった1人の日本人として、ツール・ド・フランスの舞台に立っていた。そしてまた惨劇が・・・・・。『サクリファイス』の続編、満を持して刊行!
内容説明
あれから三年―。白石誓は、たった一人の日本人選手として、ツール・ド・フランスの舞台に立っていた。だが、すぐさま彼は、チームの存亡を賭けた駆け引きに巻き込まれ、外からは見えないプロスポーツの深淵を知る。そしてまた惨劇が…。ここは本当に「楽園」なのだろうか?過酷なレースを走り抜けた白石誓が見出した結論とは。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒。1993年、『凍える島』で、第四回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2008年には、『サクリファイス』で、第十回大藪春彦賞を受賞し、同作は第五回本屋大賞の第二位にも選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiro
542
「サクリファイス」を読み「エデン」の文庫化を待っていたが、待てなくなり図書館で予約。もちろんロードレースという日本ではマイナースポーツを扱った小説ではあるが、今回の舞台は、日本でも有名な「ツール・ド・フランス」。本来は仏語、英語、スペンイ語で話されているはずなのに、主人公チカの目でみた進行が違和感なく、読みやすい。また、物語が平坦・山岳・タイムトライアルステージのレースの進行を非常にうまく使って構成されていて、作者の緻密な計算がすばらしい。そしてなによりもヨーロッパでも変わらない誓がうれしくなった。2011/09/17
射手座の天使あきちゃん
528
チカの滅私奉公的な考え方に日本人の美意識を感じるのは私だけ? 今回もレース中の照りつける日差し、頬や身体を通り過ぎる爽風、雨の匂い、そして人々の思惑等を感じさせてくれる心地よい一冊でした。満足ですぅ!! v(^_^)2010/07/28
エンブレムT
454
追い続けたかった後姿を失ってから3年。1人異国の地で走り続けている白石誓(チカ)。舞台はロードレーサーにとって最高峰であるツール・ド・フランス。本音と建前が交錯し、キレイごとだけではやっていけないプロの世界。砕けて散った絆の上をも走り抜けなければ勝てない世界。そこは本当に「楽園」なのだろうか。・・・謎なんてなくてもいい!「チカが走り続けている」それだけで嬉しいと思える自分がいた。まるで実在している人を応援してるかのような感覚になっちゃってます。2010/05/30
takaC
438
142ページ付近のEPOの話と、「黄色いライオンぬいぐるみ」から、別のミステリ的展開を予想したのだが、もっと単純な、ロードレースの世界に重きを置いた話だった。2011/04/05
文庫フリーク@灯れ松明の火
365
『誓い』『誓う』主人公のネーミング、近藤史恵さんはどんな『思い』を白石誓に込めたのだろう。漢和辞典を引く。違背しないと約束する・ちぎる・必ず・相違無く・の他に戒めるの意有り。読了間近、チカがニコラと組むのは相性バッチリ!と喜ぶが…嬉しい裏切り(笑)超弩級の呪いを背負ったアスリートは競い争う事を選んだ。チカ以外のキャラは皆一人称が『俺』ひらがなで『ぼく』のチカは控えめな主人公としてストーリーを引っ張るが…強い感情をいだいて『俺は!』と言う『誓』を読んでみたい。どうにもこの物語にとり憑かれ(笑)離れようが無い2010/04/26