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苦役列車

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  • サイズ B6判/ページ数 147p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103032328
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

【第144回芥川賞受賞作】

―どれだけ慊かろうとも仕方がない。すべては自業自得のなせる業なのだ。―

友もなく、女もなく、一杯のコップ酒を心の支えにその日暮らしの労働で生計を立てる19歳の貫太。或る日彼の生活に変化が訪れたが……。こんな生活とも云えぬような生活は、一体いつまで続くのであろうか――。

青春に渦巻く孤独と窮乏、労働と痛飲、そして怨嗟と因業を渾身の筆で描き尽くす、平成の私小説家の新境地。

内容説明

友もなく、女もなく、一杯のコップ酒を心の慰めに、その日暮らしの港湾労働で生計を立てている十九歳の貫太。或る日彼の生活に変化が訪れたが…。こんな生活とも云えぬような生活は、一体いつまで続くのであろうか―。昭和の終わりの青春に渦巻く孤独と窮乏、労働と因業を渾身の筆で描き尽くす表題作と「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を収録。第144回芥川賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

495
第144回(平成22年度下半期)芥川賞受賞 。日雇い労働をしながら、 その日暮しを続ける19歳の 貫多を通して、昭和の青春を 描く。言葉は違うが、今の フリーターの心根と 同じなのかもしれない。性犯罪者の父を持ち、友もなく 酒と煙草に明け暮れる日々が 続く。同世代の学生を見る視線が ひどく屈折して、陰鬱なのが 逆に面白い。若い頃に誰でも抱く夢のような ものはなく、ただ僻みと自己嫌悪が 渦巻く…出口が見えない日々を 逃れる術もなく、努力もせず、達観したような捨て鉢の振る舞いが なぜか心に残る、そんな話だった2014/01/25

zero1

285
底辺に生きている人間をそのまま描くとこうなる。太宰や安岡章太郎が評価されるなら、この作品も評価すべき。蟹工船を連想した方も多いと思うが少し違う。芥川賞受賞作を再読。19歳の貫多は中卒で怠惰、友人や彼女なし。性欲を持て余し、仕方なく港湾労働をしている。父親は性犯罪者だったため母親と転居した過去が。職場で専門学校生の日下部と仲良くなるが、貫多の暴言から離れてしまう。仕事でもフォークリフトの運転で優遇されるが、やる気なくチャンスを失う。その後の貫多については「落ちぶれて・・」に。2019/07/14

青乃108号

247
恵まれない状況と自らの性格上の問題から、社会の底辺で生きる若者の、どうしようもない日常を描いた表題作。間違いなく町田康と同じ遺伝子を持つ特異な文体。救いようもなく悲惨な話なのに読んでいてニヤニヤしてしまう。初めて読んだ作家だし、名前すら俺は知らなかったけど、好きだな。こういう小説。救いようがなくどうしようもないのは俺だけじゃないって思えるから。他の作品も読んでみよう。2022/04/28

吉野ヶ里

236
自身のことをここまでひどい人間に書ける作家がどれほどいるだろう? 潔い開き直り、というのだけでなく冷静な自己分析のようでもある文章はあるいは同情を引くための計算であるのかもしれない。それでもまるで私と似通ったところのない彼の生活にシンパシーを感じてしまうのは何故だろう。人間の根っこにある汚い部分を見せつけられたみたいな気持になる。飾り気が少ない分、痛い。自分だけが持っている矜持や負け犬意識をつれて人生は続いていく。誰だってそうだと思うけれど、それでも人生は平等ではない。2015/06/07

ehirano1

234
私小説なのですが、主人公は真正のクズ!しかも終いまでこのクズが改善されないというか、著者が敢えて改善(≒成長)させていないのではないかと・・・。こういったスタイルは珍しいのではないかと思います。一方で本書が私小説なので、過去を美化せずに過去は過去のまま受け入れているのかもしれないと思いました。2024/02/03

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