内容説明
もしも、この男がいなかったら、世界の歴史は変わっていたかもしれない―間違いなく悪い方へ。ブッシュ政権が発足した1989年から、国際情勢は史上稀に見る大変革を始める。天安門事件、ベルリンの壁の崩壊、そして湾岸危機の勃発―アメリカのみならず、世界の平和と安定に大きくかかわる数々の難局を、ベーカーは、その類まれな手腕で切り抜ける。元米国務長官待望の回顧録。
目次
冷戦が本当に終結した日
三十年来の友情
改革前夜の世界
超党派外交の立て直し―中米の騒乱に終止符を打つ
ソ連―ゴルバチョフ、シェワルナゼ、そして「新思考」
統合へ向かうヨーロッパ
中国―大後退
中東―泥沼の洗礼
ジャクソンホール精神
ベルリンの壁の崩壊〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
18
上下巻で1500ページに及ぶ、元米国国務長官の回顧録。国際外交といっても、人と人の関わりであるという視点で読むと、非常に価値ある一書。冷戦終結、主義主張・意見の相違、性格・人種・慣習の違いなどを如何に乗り越えてゆくかを、個人間、個人と環境という関係に置き換えて読むと、非常に有益だ。畢竟、良好な関係を築くには、超党派的行動、中道の精神で「言葉」を大切に使っていくことだと。当事者への仲介という立場では、いかにして両者の譲歩を引き出すかが鍵となるようだ。これこそが断絶を乗り越え、戦争を抑止する唯一の手段なのだ。2014/12/23
jj
4
父ブッシュ政権時代の国務長官ベーカー氏。米国国務長官4年間の回顧録。冷戦終結、ドイツ統一、天安門事件、湾岸危機、湾岸戦争までが上巻。各国首脳との事前協議、裏取引を含めた交渉内容の詳細を知ることが出来る。読みごたえのある資料的価値の高い著作。2017/07/30
Tsingdao Beer
3
実は隠れた名著ではないかと思う。 現代の外交とはどういうものなのか、考える上で非常に参考になる一冊。 この上巻にはパパ・ブッシュ政権の発足から湾岸戦争前夜までが綴られている。当時の政権にいた本人が記した回想録であるが、彼の交渉相手であったシュワルナゼを始めとする各国の外相は、逆にアメリカ外交をどう思っていたのだろう。 もっともっと勉強したくなります。2013/02/21