内容説明
ニュージーランド・クライストチャーチの女子校に通うポウリーンとジュリエットは、作家に憧れる少女。お互いの才能に強く惹かれあう二人は親密な関係を築くが、強すぎる絆が同性愛とみなされて、ポウリーンの母に交際を反対される。母親さえいなくなれば―思いつめた少女達は正気と狂気の境を越えてしまった…。現実の事件をもとに、純真で残酷な少女の内面を描く衝撃の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アイアイ
16
実際に起こった事件。14歳の頃に女学校に転校してきた金髪の美しいジュリエット、低所得の家に生まれたポウリーンは身分違いながら、互いに親友になりこの世で10人ほどが感知出来る四次元の世界を二人で空想する。同性愛と感じた周りの大人たちがポウリーンを退学にし秘書学校に転入させ、肺を患うジュリエットは南アフリカへ休養を強いられた。仲を裂くヒステリックなポウリーンの母を二人は撲殺する。なおジュリエットはミステリー作家アン・ペリーとして活躍。人を殺した事のあるアン・ペリーの小説は人が苦しまずに死んでいく。▽図書館2016/02/04
sasha
3
実際に起こった少女ふたりによる母親殺害事件をモデルにした、同名映画のノベライズ。確かに思春期の女の子は夢見がち。空想の世界に遊ぶのも分かる。でも、ずっとふたりでいたいからって親を殺してしまうなんてなぁ。ずっと少女のままではいられないんだよね。いつか大人になる。殺人じゃ「あれは若気の至りだった」とも言えないし…。しかし、作家に憧れるのならもうちょっと綿密な犯行計画を立てようよ。2014/07/17
agri
3
この不幸に対して、誰も正しくはない。そうといって間違ってもいない2009/02/24
Tsumugi.G
2
気持ちが共感できすぎて素晴らしい小説。同じ物書きとして、彼女らの作る話はジャンルが違うのもあって理解し難くついてけない部分もあったけど、親に対する恨みやかつて抱いた友情の輝きは私のそれと全く変わらない。でもここまでしっくり来る友達に出会えて良かったねって思う、そして殺人という実際の行動に至る勇気があったことを羨ましく思う。 彼女らの行動についてあれこれ揶揄する声はあるが、私は支持する。親ほど害悪な存在はいない、そしてそれは害悪な親を持った者にしか解らない。2014/12/15
那生
2
イギリスで近年(?)起こった、二人の少女による実際の殺人事件をテーマにした青春映画のノベライズ。映画未見ですが、文章があっさりしているので逆に場面をイメージしやすかったかも。感受性が強く空想に遊ぶ少女たちの密なつながりにはやや覚えがあります。たまに妄想レベルの高さに驚かされますが、程度こそあれ誰もが通る道なのではないだろうか。中盤以降の王国物語が現実を侵食しているような雰囲気は、まるで病んだ夢のようでした。2012/07/26