新潮文庫<br> カストラート

新潮文庫
カストラート

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  • サイズ 文庫判/ページ数 225p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102460016
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

カストラート、それはソプラノの美声を保つために去勢された男性歌手のことである。なかでも18世紀ヨーロッパを席捲したファリネッリは、3オクターブ半の声域を誇り、“天使の声”に熱狂して失神する貴婦人が続出した。彼の曲をすべて作曲した兄とは女性をも分け合う仲だったが、天才ヘンデルとの出会いが2人の関係に影を落し始める…バロック・オペラの寵児の波乱に生涯。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

イプシロン

24
不遇な身であればこそ到達できる高所がある。神の領域であり、悟りの境地であろう。去勢歌手ゆえの絶望感(ファリネッリ)、また激憤ゆえに天才を顕示する(ヘンデル)の姿は対照的であるが、本質は同じであるのだろう。いかなる犠牲を払っても人体を傷つけた罪は贖えない。それを償うすべは命を育むことだという命題は美しい。目には目を、歯には歯をというなら、命には命をは自明の理なのだろうが、案外忘れ去っているものだと痛感した。映画製作のために書かれた作品だけに、小説としての完成度は高くないが、筋の通った哲学が厳然とあった。2015/10/15

マッター

8
つまらなかったわけではないですが、本編より解説のカストラートの歴史の方が面白かった。2017/01/23

木賊

3
18世紀ヨーロッパを席捲したカストラート(去勢歌手)、ファリネッリの生涯。自然の性に逆らった、不完全な存在である事への懊悩、それゆえの衝動的人生が辛い。解説は、カストラートについての概要が分かり易くまとまっていて良かった。2013/12/14

雪下睦月

2
ボチボチ読んでいってやっと読み終わりました。映画を小説化したものですが、無理なく読めました。後書きにあるカストラートの歴史や、時代背景が解りやすく解説されていて面白かったです。2016/07/28

madhatter

2
再読。ファリネッリの歌声が本作の最重要要素であることは言うまでもない。しかし、その悪魔的魅力が文章で十全に表現できていない気がした。原文がそうなのだろうが、同じような表現の繰り返しである上、周囲の反応だけでこれを説明しようとしている印象を受ける。周囲からの反応でしか表現できない歌声なら、それこそ「歌う機械」だろうに…故に、初読の際からそうだったのだが、全体が猟奇趣味を狙った三文小説としか思えない。作中で表現される登場人物の人物造形も感情も、表面的なものとしか受け取れず、物語に没頭できなかった。2011/02/26

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