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新潮文庫
トゥルー・ストーリーズ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 341p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784102451106
  • NDC分類 934
  • Cコード C0198

内容説明

ちょっとした偶然。人知を超えた暗合。ときに茫然とし、ときに立ち尽くしたその瞬間を人は容易に忘れるが、作家は忘れない。自らの体験を元に驚くべき偶然の連続を、しかし淡々と綴る名作「赤いノートブック」を始め、無名時代の貧乏生活を軽やかに描く「その日暮らし」、9.11直後のNYに捧げた「覚え書き」など、柔らかななにかも力強い声が聞こえる傑作エッセイ集。日本独自編集。

目次

赤いノートブック
なぜ書くか
その日暮らし―若き日の失敗の記録
事故報告
スイングしなけりゃ意味がない
折々の文章

著者等紹介

オースター,ポール[オースター,ポール][Auster,Paul]
1947年生れ。コロンビア大学卒業後、数年間各国を放浪する。’70年代は主として詩や評論や翻訳に創作意欲を注いできたが、’85年から’86年にかけて、『シティ・オヴ・グラス』『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』の、いわゆる「ニューヨーク三部作」を発表し、一躍現代アメリカ文学の旗手として脚光を浴びた

柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年、東京生れ。東京大学教授。アメリカ文学専攻。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞受賞。『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞受賞。アメリカ現代作家を精力的に翻訳するほか、『翻訳教室』『バレンタイン』など著書も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

218
オースターの自伝的エッセイ集。ここには、まだ作家になる以前の、すなわち無名時代のオースターがいる。彼のコロンビア大学在学時は、反戦の機運が最高潮に盛り上がった時であり、まさにジェームズ・クネンの『イチゴ白書』(映画にもなり、ヒットした)に描かれた時代だった。当時のアメリカは依然として徴兵制を施いいており、オースター自身も抽選の結果しだいではどうなっていたかわからない。もっとも、彼は逮捕されても参戦するつもりはなかったようだが。彼が貧困のうちに過ごしたパリ時代もまた興味深いし、船員時代の思い出も捨てがたい。2015/01/14

harass

90
作家の体験や知人たちから聞いた信じられないような偶然の実話についてのエッセイ、だと思っていたが、レビュによると、著者の全く売れなかった修行時代についてのことも書かれていると聞いて手に取る。パリ、ダブリンなどの食うや食わずの生活や、その時代に出会う有名無名人たちの話、『異端の鳥』コジンスキーがでてきて驚く。しかしまあ、この作家の場合、書くという表現することについて、ここまで徹底していることに作家魂を見た。外国人作家のエッセイは実に久しぶりだった。良書。2018/11/26

nobi

89
学生の頃に読んでいたら生き方を変えていたかも知れない、と思うほど「その日暮らし―若き日の失敗の記録」はインパクトがあった。学生運動、ベトナム反戦運動が過激化した時代の熱気はあったにせよ、新しい経験を求めて世界の底辺にまで踏み込んでいく、身の破滅と隣合わせのダイナミックな行動。ただどんな状況でも彼は毎日書き続ける。“書く“という核はぶれない。そして浮浪者となる寸前誰かが現れる。それは彼の人徳でも才能でもあった。そして「赤いノートブック」などの話はトゥルー?作り話?いずれにしても泣き笑いの偶然、怖い偶然満載。2018/11/25

こばまり

56
一つ所に止まらず、安定には程遠く、世の中にとことん燻されまくれば、斯くも味わい深き作家が出来上がるのかと。小編「あれを読むと、以前僕の母親の身に起きたことを思い出すよ…」には泣かされた。2021/07/16

キムチ27

54
オースターの人となりは無論、作品が生まれ出てきた経過が実によく解る素晴らしいエッセー集。、読み易い作品ぞろいのせいもあり、まるで物語の様な感じ。感心するのは若い時から「人や事象を観察する目」の鋭い事・・しかも記憶力が凄過ぎ・・細部までよくまぁ、覚えている。何回も「トゥルーストーリーだ」と繰り返すだけあって、「作家の書くことだから飯の種・・嘘だろう」と周囲に言われるのかなと思った。ラスト(2000年過ぎの項)が味が有り、ブッシュ政権にも触れている。アメリカを心から愛し、人を愛し、社会への慧眼が光る2019/05/06

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