内容説明
ノルマンディ上陸作戦の最激戦地オハマ・ビーチ―。連合軍は、ドイツ軍の激しい抵抗に遭い、甚大な損害を被った。レインジャー部隊のミラー大尉は、部隊の生き残りと共にトーチカを攻撃し、敵陣地を奪取するが、その後、彼は野外作戦司令部に呼び出されて、上官から極秘命令を受ける。それは、敵地の奥深くに降下した空挺部隊の兵士ライアンを捜し出し救出することだった…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
112
同映画ノベライズ。概ね映画通りだが戦場の血腥さは映画に比べて抑えられ、情報量は読み手を疲弊させない程度に絞った分、関係性が皮肉に反転する不条理が鮮やかに浮かび上がる。ミラー大尉の「部下がひとり死ぬたびに…百人の兵士を救ったことになる」という祈りは、部下を巻き込んでまでリスクを冒す行動を裏付ける。道徳的重荷を背負う彼の信条は、政治思惑に与することでもただライアンを救出することでもない。不条理に意味を与え、殺すたびに遠ざかる故郷へ救うことで帰ることだ。映画と比べてウェードは冷静でアパムもあれほど弱腰ではない。2023/11/22
oser(読書家ではありませんドクシャーです)
52
深く心に突き刺さる物語なのでがあ …描写がなかなか際どくてクセがあり、ちょっとワイには読みにくく。 …アホなワイは戦勝国は絶対正義的な陰謀論を、とかく信じてしまいがち(別にアナーキスト的な思想を持ってるとか過激派であるとかいう訳でも無いのだけれども)なので物語が綺麗すぎて…なんか気分が乗り切らず。 …大戦物(特に史実系は)はワイにはむいてないなあ。2024/01/05
とも
21
壮絶。リアリティな描写で読んでて胸苦しくなる。人の命ってこんなに軽かったっけ?人ってこんなに簡単に死んでしまうんや…と平和な時代に生まれた事に改めて感謝。戦争に招集される一人一人に愛する家族、恋人があり、帰るべき故郷がある。登場人物の一人一人の出身地が紹介されてるけど果たして何人が帰るべき故郷、愛する人の元に辿り着けたんやろうか。映画は遥か昔に観たけど当時は映像のエグさにばかり目を奪われてストーリーは殆ど頭に入ってなかったけど、今回後追いで読みストーリー自体も深く、色々と考えさせられる一冊でした。 2020/12/03
まゆみなり
9
衛生兵のウエードが撃たれて亡くなるシーンが一番心揺さぶられました。映画は観てなくて、「戦場のコックたち」からの流れで読んでみたのですが、まさかあんなに犠牲者がでるとは思ってなくて、だから仲間の二人目の犠牲者で、まさか衛生兵なのにと思うと、余計に泣けました。後半はもう次々に犠牲者がでて、ミラー大尉まで、、それが戦争なんだなと改めて痛感。戦士一人一人丁寧に描かれており、読んでよかったです。戦争は絶対にしたらいかんのです。映画は、観たいようなこわいような、、、迷いますね。2016/06/08
白
7
映画を見ようとしたが冒頭でリタイア。話自体気にはなっていたので、小説版に挑戦/面子のために、一人の青年を戦場から離脱させようとする。離脱させるための別個隊。やるせない気持ち、命令に従わなければいけない立場。苦しい/74頁9行目、ここでライアンは既に死んでいると思っていた。ミラーらの進軍に心を痛めていたのだが、生きていて驚いた。【ライアン】という姓の人間はこの戦場に沢山いるのに…という表現…?/ミラーは頭が切れる人物である。教師が戦場に行き、人を殺す。米兵にも独兵も、それぞれの職業や人生があったはずなのに。2019/04/11