内容説明
ジョージア州の老人ホームで余生を送るポールが、生涯のなかでもっとも忘れがたい1932年の出来事を回想しながら書いているこの物語も、そろそろ終わり―ジョン・コーフィの処刑が目前に迫った時、ポールは恐るべき真実を知った。そして…。死刑囚舎房で繰り広げられた恐怖と救いと癒しの物語もいよいよ完結。分冊形式ならではの幾重にも張られた伏線と構成が導く感動の最終巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
87
例の黒人の大男の死刑囚が起こした軌跡はありきたりな感じで多少がっかりだったのですが、この巻になってびっくりでした。 なるほどこういう事で、黒人の大男の死刑囚が死にそうなるほど具合が悪かったのかと。 その後、恐るべき真実が明るみに出てきて、伏線を次々に拾っていくのは心地よさもありました。 そして、例の死刑囚がグリーン・マイルへ…。 最後は、老人である私の「奇跡」が…。 ほんとに奇跡の連続で、息つく間もないって感じです。 この話はどこに落ち着くのかと思っていたら…。 う〜ん、この終わり方はどうなんでしょうね?2020/03/25
NAO
82
【2021年色に繋がる本読書会】コーフィーがウィリアムを激しく憎む気持ちは分かるが、この結末には、いろいろともやもやしたものが残る。キングの作品では、いいことがあったあとにはその倍以上のよくないことが起こるから、コーフィーの奇跡が悪い方に動くのは予想できるのだが、コーフィーには純朴ないい人のままでいてほしかった。2021/02/19
Willie the Wildcat
53
罪と罰。(キリスト教的表現ではないですが)煩悩故の苦であり、求める”解脱”への道。ジョン/ポールvs.ジングルスが示す道標。明示的な前者の一方、暗喩的な後者。「流れ者」の解釈が鍵。一方、ジャニスとパーシーの最期に問う”奇跡”。生の証と、人間の尊厳ではなかろうか。一人背負う理想と現実の矛盾、その気持ちが涙となる。何もできないもどかしさと無力さに、思わず「それはないだろう・・・」と心で叫ぶ!原則、真実は知るべきだとは思うが、真実って時に酷過ぎるよなぁ。因みに、私は”スチームボート”の方が好きだった。(笑)2015/10/25
やま
51
6分冊の第6巻。ついに完結だが、まったく長いという感じはしなかった。展開が読めないが、それでも次を読む気にさせるのは分冊ならではの手法で、過去にいったり現在にいったり、と時間の流れをうまく使っていた。ジングルズに最後に会えたのは良かった。コーフィについては別の結末もあっただろうが、そうしたら別の物語になってしまう。キングが描きたいのはそういうことではないのだろう。タイトルのグリーン・マイルは刑務所だけではない、普遍的に存在するものなのだろう。★★★★☆2016/01/05
みや
46
息つく間もなく序盤から突っ走っていく。この展開は予想だにしていなかったので圧倒された。凄い。騒動が終えた後も、歯痒さや無力さに苛まれ続けて切なかった。物語が結末へ進むごとに、登場人物一人一人の人生の終わりを語られていくのがとても好き。回想録なので、看守、被害者遺族、関係者たちの死の様子が違和感なく差し挟まれる。病気、事故、他殺、処刑と様々に違えども、全ての人間が等しく死ぬ。誰もがグリーンマイルを歩いているのだということを、死の期限が切られた者たちの姿を見ることによって、より克明に突き付けられる作品だった。2017/07/21