新潮文庫<br> 収容所から出された男

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新潮文庫
収容所から出された男

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  • サイズ 文庫判/ページ数 429p
  • 商品コード 9784102165119
  • NDC分類 933

内容説明

ソ連対外交渉専門家のブルトヴァは、一度失脚して強制収容所に入ったことがある。折しも、ソ連からノーベル文学賞候補が出た。文化相は選考委に授賞を迫り、作品の映画化権を売る口実で、作家に西側諸国の講演旅行をさせることにし、保護者役をブルトヴァに命じた。かつての仇敵の罠を感じとったブルトヴァの、生残り策とは?独特の雰囲気が遺憾なく発揮された、重厚な陰謀小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

53
本書が発表された1974年は冷戦状態にあった米ソ間がデタント、つまり緊張緩和の時代に入った頃だ。つまり国民が西側への接触を決して許さなかったソ連がその戒めを緩め、寧ろ世界へ国力を誇示する意向を示している。フリーマントルはその様子をロシア人がノーベル賞を受賞するシチュエーションでその国威宣伝に携わる男の苦悩と危うい立場を描いている。しかしデビュー作では爽快な読後感を与えてくれたのに、2作目にしてこの後味の悪さだとは。フリーマントルは初期からサディスティックな作家だったということが身に染み入るように解った。2015/10/06

bapaksejahtera

6
書題はチャーリーマフィンシリーズを思わせたが違った。スパイミステリーでもない。父と共に陰謀を受けてロシアの強制収容所に送られた男が政治的欺瞞を駆使して対外交渉役にのし上がる。ソルジェニーツィン後に現れノーベル賞を受賞する事となった作家に同行して授賞式とその後一連の旅行を差配する事となるのだが、この旅行で作家には薬物と同性愛の罠が掛る。過剰に冒険的な主人公は精神的に危うい田舎出の作家を制御しうるか。結末や如何。短時間で読み切ったが、ロシア人の名前の扱いを見るとフリーマントルのロシア理解には強い疑問が残った。2020/09/06

沼田のに

2
フリーマントルは耄碌してるんじゃないか?疑りながら読んでた。結末が録音テープの羅列では衰えたなと思ったら違った。得意技の言葉でのどんでん返しが決まった。解説を読んだらこれは作者の第2作目ということでフリーマントルが駆け上がる時代の作品だって。8年以上前の作品は全部読んだと思ってたのに未読だった。7/102014/01/14

mayu_moooooo

1
皆なにかに怯え、自分の身を守るために働いている。 スパイは、それらを我々に、極端な形で見せてくれる。 隙のない仕掛け、鮮やかに描かれた人柄、生きる場所ごとの義務。 読むたび、フリーマントルが小説家になってくれたことに感謝したくなる。

pqrs

1
さまざまな意味において、すべての発言に少しの誤解も許されない男の話。にも関わらず、僅かな隙が積み重なって……という話2010/02/28

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