新潮文庫<br> 別れを告げに来た男

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新潮文庫
別れを告げに来た男

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  • サイズ 文庫判/ページ数 234p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784102165027
  • NDC分類 933

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

184
題名が良い。読み終わて改めてみるととても良い。邦題も原題も。亡命ものだが、アクションも無く、ただひたすらと尋問の場面が続く。最初は亡命者は本物か?亡命は本心か?と疑問が続くが家族を心配する亡命者の気持ちに偽りはなさそうだが。一見筋は通っているがどこかおかしな話でもある。ラストは何となく誰もが予想する通りなのだが。老境に差し掛かる男の邂逅と別れと。渋くて悲しくて寂しくて、しんみり来るなぁ。これがデビュー作とは。恐るべし。2021/06/02

Tetchy

61
自分の禿げ頭を気にして周囲の人々のカツラを見破ることに専心している、苦笑を禁じ得ないキャラクターが主人公の本作は230ページという薄さの中に色んな伏線を絡めた、実にミステリマインドに満ちた作品だ。デビュー作にして既にフリーマントルのスタイルが確立されているのには驚いた。本書はフリーマントルが37歳の時に新聞社の外報部長時代の頃に通勤中の車内で書いたと云われているのだが、こんな物語を通勤中に書くことも凄いが驚愕すべきは37歳で部長職に就いていることだ。現代の大作家は勤め人としても凄かったということか。2015/08/12

nakanaka

59
ソ連からイギリスに亡命した大物科学者と事情聴取にあたる取調官のやり取りを中心としたサスペンス小説。スパイ小説でもあるような。派手な展開は特に無いものの、社会主義国家からの亡命ということもあって両国の思惑や駆け引きなど緊張感があってドキドキしました。家族への愛を最も大事なものとする天才科学者パーヴェルと妻に裏切られた天才取調官エイドリアンという正反対の両者。二人とも良いキャラだったなぁ。この作家さんも追っかけてみたくなりました。2022/01/09

Kajitt22

33
大物亡命者を尋問する若いが有能な事情聴取官が抱く違和感。ジョン・ル・カレの『寒い国から帰ってきたスパイ』を彷彿とさせる渋い筆致の審問場面に引き込まれた。久しぶりに英国本格スパイミステリーを堪能しました。完璧とは言えないながら終局も鮮やか。2021/06/11

拓也 ◆mOrYeBoQbw

27
推理長篇。亡命サスペンス。東西冷戦の最中、ソ連最高の宇宙科学者ベノヴィッチとパーヴェルの2人が相次いで亡命し、英国聴聞官ドッズが聴取を始める。パーヴェルの謎の亡命理由とは何なのか?ドッズとパーヴェルの二人主人公の推理劇の金字塔です。全ての人物が”見えない大きな力”に流されるチェスタトン、コンラッド以来のスパイ小説の流れを組みつつ、ドッズとパーヴェルを囲む人物達の描写が、ハムレット的な憂鬱とエンディングの後味を上手く作り上げてると思います。ミステリーファン以外にも読んで欲しい傑作ですね(・ω・)ノシ2018/09/21

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