内容説明
強烈な露悪。マシンガンのようなB級小説の文体。アンダーグラウンドの一作家だったブコウスキーの小説は、世紀末の日本で、熱い支持者を得た。人も獣も入り乱れ、目もくらむ終結を迎える「狂った生きもの」、酔いどれの私がこともあろうに結婚式の付添人を務める「禅式結婚式」など、前作「町でいちばんの美女」を凌駕する過激な世界が詰め込まれた短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YM
59
ブコウスキー1冊目。見事に退廃的な世界観。未来も希望も描かれない。生きる気力も感じない。モラルなんてあったもんじゃない。醜いとこ、弱いとこをさらして、思うがままに生きている。でもそこまで絶望しながらなんで生きてたんだろう。読みながら考えた。目の前にある個人的な快楽、欲望に素直になるとこんな感じなんだろうか。実は楽な生き方なんだろうか。いつから自己実現が目的になったんだろう。僕を縛っているものはなに?素直って、思いやりって、責任てなに?ぜんぶぶっこわして、ゼロにしたい。あーくるってきた。2014/11/29
団塊シニア
38
まさに狂気の物語である、自分の弱さ、醜さ、狡さ、アル中の意地汚さ、冷淡さ、そして下品さ、マイナスの要素をさらけだす、筆者、日本にはいないタイプの作家である。2013/10/31
tomo*tin
34
小汚いろくでなしオヤジの標本のような一冊である。なのにブコウスキーの手にかかると小汚いろくでなしが何だか少しだけ粋で格好良いものに見えたりもする。本の読み過ぎで視力が低下したのかもしれないが、クレイジーな渦が七色なんだかドブ色なんだか分からなくなってくる。イカれてやがると薄く笑いつつも、そのイカれ具合がまっとうな気がしてきてしまう。虫ピンで刺されてんのはどっちだろうと思いながら、狂気は飼いならすくせに孤独で致命傷を負ってしまうクールなオヤジと一緒に唾を吐く。末期?いやいや、最先端だろ?って違うか。2009/08/04
nobi
27
原題はTALES OF ORDINARY MADNESS(大元はここには書きづらい枕詞付)。あくまでmadnessにおいてordinary?多分に過激で常軌を逸している。家庭の見慣れた風景に予想外の風景が挟まれる。他愛無く見える子供との会話に不意に硬質な言葉が挟まれる。その瞬間、異次元の世界が現れ瞳孔が開く思い。アルコール漬けの無頼な生活の中で、タイプライターを打ち続けた。出来不出来は極端かも。でも一貫して直截でmadnessをも掬い取って行く。殆ど世に見放された老人の最期にも彼を見守る神の目を感じる位。2015/08/29
fseigojp
23
ジャケ買いしちゃいました B級のエロ話・酔いどれ話が満載 ドラッグは出てこないので、やや安心してお奨めできます アメリカの西村賢太2016/05/13