新潮文庫<br> 赤い小馬 (改版)

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新潮文庫
赤い小馬 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 171p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102101070
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

136
サリーナスの牧場主の息子の喪失と受容を経た成長を描いた私小説的な連作短編集。息づかい、眼差し、耳の動き、咳など馬の仕草が細かくいきいきと描かれ、消えゆく或いは生まれゆく生命に崇高な重みを添えている。ミスのせいで卑屈になりつつ約束を守る世話係の存在も大きい。出産は『エデンの東』のリーの逸話を思い起こす読者も多いのでは。『大連峰』は著者の実感そのままな山描写や老人の方便が原始的郷愁を煽る。『開拓者』は厳格な父親が見せる弱みがコミカル。母親の包容力は今回も絶対的で、追加併録により余韻はとても優しいものになった。2022/11/10

NAO

78
再読。カリフォルニア州サリーナスを舞台に、牧場に住むジョーディ少年を主人公とした4つの短編からなる短編集。子馬に関する『贈り物』『約束』2つの話は、少年の子馬を持つ喜びや期待といった心理が細やかに描かれている。子馬の様子や調教の方法なども詳細に描かれた、自伝的な作品。『開拓者』は、引退したも同然の祖父と、今を必死で生きているジョーディの父親、まだ何ものでもないジョーディ少年、三者三様の心の在りようが、しみじみと描かれている。2020/02/10

巨峰

69
ローティンの男の子と開拓者の子であるお父さんとお母さん。そして馬については随一の使用人のビリー。一見アメリカの古き良き時代の童話風を装っているが、なかなかなかなか。特に1話と3話の結末は衝撃的で圧巻です。小さい子が読んだらトラウマになりそう。薄い短編集ですし、古本で見かけたら是非読んでみてほしい。2017/05/04

星落秋風五丈原

56
ある年齢になると関節の節々が痛くなる。成長するために必要な痛みと言われている。そして痛みは単に肉体的なものに留まらない。山奥で両親と雇い人のサリーナスの谷で暮らす少年ジョーディが感じる“こころ”の痛みが、四篇で綴られる。『贈り物』ある日父親が買ってきた赤い仔馬を、大喜びでジョーディは世話をする。しかし雨に濡れたことが原因で、あっけなく亡くなってしまう。彼が感じるのは、可愛がっていた馬を失う痛み―どんなに愛したものもいつかはいなくなることを知る痛み―である。雇い人ビリー・バックはもう一人の父的存在でもある。2021/04/21

fseigojp

32
二十日鼠と人間 怒りの葡萄と エデンの東 の間に書かれた半自伝的作品群 同文庫の スタインベック短編集 とともに、長編のためのスケッチのような味わい2015/10/20

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