新潮文庫<br> 草の竪琴

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新潮文庫
草の竪琴

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  • サイズ 文庫判/ページ数 193p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102095041
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

両親と死別し、遠縁にあたるドリーとヴェリーナの姉妹に引き取られ、南部の田舎町で多感な日々を過ごす十六歳の少年コリン。そんな秋のある日、ふとしたきっかけからコリンはドリーたちと一緒に、近くの森にあるムクロジの木の上で暮らすことになった…。少年の内面に視点を据え、その瞳に映る人間模様を詩的言語と入念な文体で描き、青年期に移行する少年の胸底を捉えた名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

224
これは自伝的な小説なのだろうと、読んでいる途中からしきりにそう思う。カポーティの伝記を知っているか否かには関わりなく。この小説を支配するのは強固なまでのノスタルジーである。しかも、それは通常の意味では、けっして幸福であったとは言えない作家の少年時代を描いているにも関わらず。そして、このアメリカ南部の空気感はどこから来るのだろう。木が針葉樹ではなくて、広葉樹だからだろうか、川の流れと空気の淀みだろうか、人と人との関係の濃密さの故だろうか。表題の「草の竪琴」は、かそけき郷愁と、望郷の想いを奏でるかのようだ。2014/11/28

ハッシー

217
【草の竪琴は丘に眠るすべての人たちの物語】▶草原で風が通り向けていく音はもの悲しいがどこか温かみもある。初めて行く場所であって木の葉のざわめきや稲穂の擦れる音がすると懐かしさを覚え郷愁に駆られる。▶これは作者の幼少期を綴ったノスタルジア小説。2016/12/05

やきいも

82
「ティファニーで朝食を」の作者カポーティーによる作品。多感な日々を過ごす16歳の少年コリンは遠縁にあたるドリーやヴェリーナの姉妹達とムクロジの木の上で生活する事になるが...。「愛」についてストレートに語られる箇所が何ヵ所かあり、ついその箇所に戻ってきて読み返してしまう。「ストーリーが面白い」というより「文章の美しさ」でひきこまれてしまう本。胸の中にじわじわとしみてくる本。2016/12/31

metoo

74
色彩豊かで美しい一編の映画を観たような読了感。両親が死別し、親戚の姉妹に引き取られた少年コリン。コリンはまさにカポーティ。彼の生い立ちと重なる。そしてハーパー・リーの「アラバマ物語」を読了後すぐにこの作品に会えて良かった。「アラバマ」に登場するディルはカポーティがモデルである。本作と「アラバマ」の全く異なる作品に、重なり共通するものが、幼なじみだった二人の著者の共鳴し影響を受けあった感受性であり、それが草の竪琴の旋律となって私の心に届いた。2016/03/23

やきいも

50
映画『ティファニーで朝食を』の原作者による本です。心に深く刻まれる一冊でした。遠縁のドリー達とムクロジの木の上で暮らす事になった、多感な16歳の少年コリンの成長を描いた作品。ドキドキするようなストーリーの展開はなく、最後まで淡々とすすむ。しかし、文章がとても美しく印象的な箇所がたくさんあった。「愛とは、愛の鎖の事だ。(中略) ひとつのものを愛する事ができれば、次のものを愛する事ができるようになる」(176ページ)の箇所が有名です。秋の草原の『草の竪琴』の調べは平凡な私には永遠に聴こえる事はない...。2015/04/03

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