出版社内容情報
女はいつも自分をこぼしている。そして、子供、男、また社会を養うために与え続けるのが女の役目であるならば、女はどうすれば満たされるのだろうか。い心地よさそうに掌に納まり、美しい螺旋を描く、この小さなつめた貝が答えてくれる――。有名飛行家の妻として、そして自らも女性飛行家の草分けとして活躍した著者が、離島に滞在し、女の幸せについて考える。現代女性必読の書。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
194
海辺にあった貝たちをみて女性の役割や当時の社会 子供について考えた本である。正直かなり力が入っている作品であった!なんといっても今の女性たちにも共通する話が多い。社会での女性の役割は特にそうである。いまも変わらず残る問題である。印象に残っている言葉も数多くあった。そのなかで一番残っているのは人間的な関係のどの段階も意味があるという言葉である。仲がいいから一番いいのではなくその過程も意味があり大切にすべきではないかと思った。女性必読と書いてあるがむしろ男性も読むべき作品になっているのではないかと感じた!2021/02/23
匠
149
史上初の大西洋単独横断飛行に成功したチャールズ・リンドバーグの奥様が書かれたものだという予備知識と表紙の美しさに興味を引かれて読み始めたら、最初は女性の結婚観を自問自答したような内容だったので、自分の役に立つ部分あるのかなと不安になったが、知性溢れる視野の広い考え方にどんどん惹き込まれ、共感しながら読み終えた。彼女自身も飛行機を操ると知り、なるほど俯瞰したモノの考え方はそこからくるのかもなと納得。そして滞在した海辺で拾った様々な貝殻から、生き方や感情を哲学的に引き出して書かれていて、とても魅力的だった。2014/08/12
まーくん
141
著者は大西洋横断飛行で有名なリンドバークの夫人。自身も女流飛行家で、二次大戦後には社会事業にも活躍された。しかし本書には、そのような経歴などは一切出て来ず、20世紀を生きる一人の女性として、その生き方を模索している。家族から離れて、ひとり海辺で休暇を過ごし静かに思いを巡らす。「自分だけが愛されることを望むのは構わない」が、それがいつまでも続くこと望むことは、私には人間の「持って生まれた迷い」に思える。「二つとないものなどなくて、二つとない瞬間があるだけ」という。何か深い悲しみを宿してるような気がするが…。2020/02/25
雪うさぎ
114
打ち寄せられた貝殻を拾い集め、様々な形やその貝の生き方に人生をなぞらえ、彼女は自分自身と対話していたのだと思う。富や名声を得ようとも人は同じ悩みを持つ。人生も後半にさしかかろうとしているとき、見つめ直したかったのだ。女性としての生き方や夫婦のあり方を。それは国や時代を超えた永遠の課題なのかもしれない。その答えは海辺に転がっていた。貝殻達が教えてくれた。男女それぞれが自立して生きていくことの大切さを。どんな運命をも受け入れ、立ち向かっていった彼女の姿も又、一つの貝殻となって目の前の海辺に転がっている。2016/01/30
けいご
107
何かを失った訳でもないのに何か足りない気分を埋める様に仕事・結婚・子供・食事・友・物質と何かを得らねばと日々奮闘しているけど「足りる為に足りなくなる」事に気づくこともなく自分をすり減らしてないかい?そんな時はちょっとでいいから自然の中で孤独になれる時間を作ってみ?実は「足り過ぎて胸焼けしてる」事に気づくべ!と言われた気がした1冊★最近「孤独ってそもそも一体なんぞ?」と思うことが多いんだけども、色んな本を読んでると孤独って実は全然悪くなくない?と思うようになりました★2021/08/02