新潮文庫<br> ねじの回転 (改版)

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新潮文庫
ねじの回転 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 299p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102041024
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

391
ごく端的に言えば"怪談"である。ところが、これがなかなか一筋縄ではいかない。ブライ屋敷の男女の幽霊は、そもそも謎の死を遂げている。しかも、彼らが現れる目的は一切わからない。マイルズとフローラ兄妹の行動もやはり謎めいている。それらを解き明かそうとするのが手記の語り手である「わたし」であり、我々読者は彼女に導かれて、この不思議な空間を彷徨うことになる。この作品もまた推理小説の対極にあるだろう。確かなものはとうとう何もないのだ。そして、おそらくはそれこそがヘンリー・ジェイムズの小説世界の内質なのである。2016/01/29

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

131
1898年発表のスリラーの古典。フロイト以前に人間心理の深層を描き、プルーストやカフカなどにも影響を与えたという。両親と死別した幼い兄妹の世話をする家庭教師の女性の異常な体験。屋敷に元使用人の亡霊が現れる。子供たちを護ろうと霊と対峙する彼女は、次第に兄妹の内面に潜む邪悪な素顔に気づいていく。しかし、霊の存在を主張しているのは家庭教師のみ。一緒に子供たちの世話をしている使用人の女性の心には最初に恐怖が、次に疑惑と不信が現れ、家庭教師は孤立し追い詰められていく。不穏な空気の中、突然幕が落とされたようなラスト。2016/05/20

はたっぴ

91
英国のお屋敷で幼い兄妹が亡霊に狙われた。気高き女性家庭教師が亡霊退治を始めるが…。ホーンテッドマンションの洋館で、パーティーを催す陽気な亡霊達とは違い、ここでは陰気な悪霊の姿がじわりと浮かび上がってくる。おぞましいことは起きないが、心理描写が巧みで、観念づけるような出来事で恐怖感を植え付けるのだ。おかげで中断することなくほぼ一気読みだった。遥か昔の作品にも拘わらず、最後までゾクッとする怖さを感じながら読了。幼少のマイルズ以外の登場人物が、どうなったのかわからないというのも不気味なことだ。【G1000】2016/05/16

扉のこちら側

85
2016年1118冊め。【251/G1000】ゴシックロマン的英国の屋敷で家庭教師をすることになった若い「わたし」の語りで物語は進む。子ども達の魂を奪おうとする幽霊の存在。しかし子ども達を守ろうとする程、子ども達からの信頼を失っていく。理由を書くとネタバレになるので書かないが、追いつめられて一人で戦う彼女は何を見ていたのか。『鳩の翼』とはまた違った雰囲気で楽しめる作家だった。2016/12/20

nobi

73
情景と心理状態を大仰な言い回しで説明するテロップが常に流れている映画を見ているような印象があった。逆に亡霊の邪悪さが何に由来するのか彼らが貴族屋敷の子供達に取り憑く理由は何なのかは一切説明がない。「純潔な香気」を放つ子供が「わたしの怖じひるむような人物」へと一変する不気味さはあっても、亡霊出現への戦慄も彼らが子供達に付き纏うことへの義憤も高まらない。1898年発表と知ってPG(注)にある原文を見た。単語は意外にシンプル。その滔々とした長いフレーズは音読したくなる。この作品の良さは原文で味わうべきなのかも。2017/04/30

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