出版社内容情報
エドガー賞長篇賞、ハメット賞最終候補。とてつもないミステリ、上陸。今年度ナンバー1注目作! 失われゆく故郷を前に、傷だらけの男は――。ピューリッツァー賞作家による渾身の大作。
マフィアが巣食い、宗教指導者が影響力を揮うシトカの街を、深い傷を負った刑事の魂が彷徨う。殺された若者はチェスの天才だった。神童。奇跡の子。ユダヤ人の間で囁かれる救世主伝説。警察ばかりか、幾多の勢力が事件を葬り去ろうとするなか、相棒ベルコと暴走気味に捜査を続けるランツマンはある事実に気づくが ――。故郷喪失者の挽歌が響くハードボイルド・ミステリ大作、佳境へ。
内容説明
マフィアが巣食い、宗教指導者が影響力を揮うシトカの街を、深い傷を負った刑事の魂が彷徨う。殺された若者はチェスの天才だった。神童。奇跡の子。ユダヤ人の間で囁かれる救世主伝説。警察ばかりか、幾多の勢力が事件を葬り去ろうとするなか、相棒ベルコと暴走気味に捜査を続けるランツマンはある事実に気づくが―。故郷喪失者の挽歌が響くハードボイルド・ミステリ大作、佳境へ。2008年度のヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞というSFの主要三賞を制覇。エドガー賞長篇賞、ハメット賞最終候補。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
82
亡くなった男に纏わる陰謀と結末。しかし、ユダヤ教コミュニティの最高位の男の子でありながら同性愛者だったら生き辛かっただろうに・・・。最後の世界の混乱描写は、パレスチナ問題で起きている事の原因となった口約束をしたり、勝手に介入して傍観している国達への怨嗟なんだろうか。それとライツマンが吐き捨てた「勘違いで子供を神への犠牲にしようとした男なんぞ、クソ喰らえ」という言葉はアブラハムでもあり、ライツマン自身への言葉でもあったのだと思うと遣る瀬無い。それでもベルコの妻の言葉に篭った覚悟に希望を託すのは我が儘だろうか2017/02/02
キムチ27
38
下巻に入っても、身は入らず。こうなると私の知的限界と「チェスを全く理解できない」という事を理由に、途中退出した。2022/06/20
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
33
これはハードボイルドと後ろに紹介されているけど、むしろ「ダビンチコード」みたいなファンタジー系アクションミステリーではないだろうかと思った。イスラエルの建国に失敗したユダヤ人がアラスカに借地して住むシトカ特別区。さながらゲットーの様にその中で暮らすのを許されて70年。2ヶ月後にその地を返還しなければならない。そこで起こる殺人事件。それを捜査する離婚したばかりで酒浸りの刑事。狭いユダヤ人社会の中の様々な合法非合法の組織。そのシムテムの説明に戸惑ってしまってなかなか読むのが辛かった。2017/10/31
Small World
29
とりあえず読了しましたが、面白いのかは判らないままだったりしますw。やっぱりバックボーンに民族的なアイデンティティーがあると取っつきづらいですよね。でも、最後、主人公が自分を取り戻したところで、これは、個人のアイデンティティーの話だったのかと気づかされたのでした。深い!。物語では犯人探しが中心ですが、本書が主要なSF賞作品なのが一番のミステリイだったりしますw。(Wクラウン作品)2019/02/16
ベル@bell-zou
26
あまり面白くなかった。シトカ特別区なんてものがあったのか知らなかったなぁと素直に思っていたら“ベルリンに原爆投下”された歴史改変SFだったと気付きちょっと興奮したものの下巻に至っても重苦しさばかりが漂いコミカルな場面の効き目も足りずユダヤ教とチェスに精通していれば楽しめたのではないかと悔やむ気持ちもそれほど。難しくはないが色んな要素がとっ散らかって中途半端にぼやけた印象が残った。↓2021/10/14