出版社内容情報
永劫回帰。天才ニーチェの到達点。人類最高の知的遺産、ここによみがえる。
第1部で神の死、第2部で権力への意志を説いてきたニーチェは、本巻においていよいよ“永劫回帰”の思想について語りはじめる。ルターのドイツ語訳聖書に対抗し、ドイツ語のゲーテ的水準を一歩踏み越えさせるという自負のもとに書かれ、全編が詩もしくは音楽的な律動感にあふれている。思想書としてだけではなく、魅惑的な哲学的叙事詩としてもドイツ文学第一級の作品である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
83
ニーチェが繰り返し言うのは、｢同情はしない｣ということと、｢笑いを忘れない｣ということだ。 ニーチェは、キリスト教を支える根本精神は愛ではなく同情であり、キリスト教は笑いを禁じている、という。キリスト教において笑いが禁じられているということについては、ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』のテーマにもなっていることだが、ニーチェは父親が聖職者であったからこそ、キリスト教の弱点が他の人よりもより鮮明に見えてしまったのだろうか。 2020/12/27
Gotoran
42
竹山訳の本書（下巻）、旧字体かつ文語調訳で難解さを感じつつも、詳細な下部の注釈を追いつつ丁寧に時間をかけて読んだ。形骸化したｷﾘｽﾄ教他、従来の倫理の一切を疑い、人がより良く生きるための新しい倫理の在り方を徹底的に模索したﾆｰﾁｪ､その思想の1つが永劫回帰。本書では、ﾆｰﾁｪの代弁者ﾂァﾗﾄｽﾄﾗ永劫回帰を語っていく。全篇に亘る魅惑的な叙事的散文詩には、示唆深く、心に残る数多くの文句を見出すことができる。2014/09/20
vinlandmbit
17
しっかり読み切れていない所は、また再読の機に。。2022/08/16
wiki
9
「勇気ありとは、恐怖を知りながら之を征服し、深淵を見ながら矜持もて見る者の謂である。」「なんじらはいまだ苦しみ悩むことが足らぬ！なんじらは自身について苦しみながら、いまだ人類について悩んではいぬ！」克己の人の勇気とは、また悩みとは、かくなるものか。私がツァラトストラに感動するのは、彼が悩みを真正面から受け止め、がっぷり四つで考え抜き、勇気をもって挑戦したからだ。漢字が繁体字の為難読だが、台湾での留学経験がここで活きた。流麗な文体にも美しさを感じる。この度分からなかったところは、知識と経験を積んだ後に、又。2018/02/13
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00％完了】
9
**注)哲学･上下巻感想**ニーチェと哲学ＳＦの読解の為読了｡真意は"超人を生みだす事が､人類の価値を高める"と感じました｡イチロー選手を例にすると分かり易いかもしれません｡一人の天才が現われそれに影響され競い合う様に才能ある選手が登場する｡勿論その原理は"人類そのもの"にも適用する｡だが人間は人間を甘やかす｡私達が無為に時間を費やす事や懺悔すれば自己が容認される"神"や"真理"を捏造した｡これが"まやかし"であると理解すれば人間はいばらの道を突き進むしかない｡それが"神の死"であり"超人"と感じました｡2012/01/28
