感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
4
「心情はそれみずから、理性の知らない理由を持っている。我々は幾多のことがらをみてそのことを知っている」神を信じるのは、心情であって、理性ではない。これが信仰というものである。理性にはではなく心情に感ぜられる神」「法律は正しいものではないと民衆につげることは危険なことである。なぜなら民衆はただ法律を正しいものと信じてのみ従ってしるのであるから」「高慢はいかなるみじめさとも釣合い、いかなるみじめさの重みとも釣合う…邪悪の心は自分のがわに道理があると、高慢となり、道理をくまなく明らかに列べたてる」2017/02/15
suu
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人間の性質について書かれたものの最高峰に部類する書物ではないのだろうか。善と悪、理性と感情など、人間の本質的性質に基づいて、冷静沈着かつ数学的緻密さをもって、客観的かつ合理的に批評や主張が綴られている。定量的ではない事柄を語っているにも関わらず、非常に人間の性質について説得力がある。パスカルは数学者として有名だろうけど、この書物を読んでみると、本当に優秀な人間は、分野に関わらず本質を見抜くことができるのだと思った。本書よりも鋭くわかりやすく人間を分析している書物があるのなら、ぜひ読んでみたい。生涯の一冊。2018/01/03
wadafumiya
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上巻の方が学ぶことが多い。下巻はキリスト教弁護論ばかりだった印象。2011/06/09
kaolu
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「我々を我々のみじめさから慰めてくれるただ一つのものは、慰戯である、しかし慰戯は我々の持つみじめさのうち最も大きなものである。なぜならこのものは、何よりも、我々が我々のことを考えるのをさまたげ、我々を知らずしらずのうちに亡びさせるからである。」「ひとはなぜ多数性に従うか。多数性のうちに一そう多くの理由があるからか。いな、一そう多くの力があるからだ。」 キリスト者としての言葉の共感は半分くらいにとどまったが、箴言集的な捉え方もできる本だった。なかなか難解。2020/09/28