感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
457
かほどに名高い作品なのだが、実は初読。これが戯曲であることも知らなかった。ついでに言うと、結末も私がこれまでに思い描いてものとは違っていた。戯曲だが、読むよりも舞台で演じられるのを鑑賞する方がよさそうだ。全体はいわば夢幻劇。ただし、泉鏡花の例えば『夜叉が池』のような一連の幻想的な劇に比べると、やや即物的な感も否めない。舞台や衣装を事細かく指定しているのだが、そのことがかえって劇に制限を与えているように思われる。もっとも、子供たち向けの舞台として演じるなら、これはこれで子どもたちを夢の国に誘うかもしれない。2017/01/29
こーた
243
クリスマスイヴ。妖女に唆されたチルチルとミチルの兄妹は、幸せの青い鳥を探して夢の世界へ旅立つ。時を操る魔法の帽子、お供にはイヌとネコ、まではわかるが、ほかにも火や水に光、さらには砂糖やパンなんてのも、一緒になってついてくる。猿蟹合戦の臼や糞といい勝負ではないか。もとは戯曲として書かれた。つまりはかれらを、人間が演じる。ひとが演じることで人格が宿り実体がうまれる。これぞほんとうの擬人化、だ。学校や地域のコミニティなどで演じたら一層おもしろい。実際の舞台上を想像しながら読む。演劇の奥深さを想う。2019/06/23
zero1
153
幸福はどこ?目に見える物だけが本物?世界的な戯曲を再読。クリスマスイブの夜、妖女が現れ兄と妹は青い鳥を探す旅に出た。思い出の国、夜の宮殿、墓、未来の王国などで彼らが経験したことは?「オズの魔法使い」(ボーム)や「アルケミスト」(コエーリョ)と同じテーマで国や文化を超越している。光や青い鳥は何を意味するのか。1911年のノーベル賞もあるが、この作品が読み継がれているのは何故か、読めば分かる。青い表紙に堀口大學の翻訳。これだけでも本書を手にする価値あり!の一冊。あなたは近くにいる青い鳥を見逃してない?2019/09/01
新地学@児童書病発動中
137
クリスマスイブの夜にチルチルとミチルの2人の子供が経験する冒険劇。色彩豊かに書かれ、幻想的な場面が次々と出てくる忘れがたい作品だった。子供向きの作品だが、深い知恵がこめられている。第九場の「幸福の花園」で書かれる様々な幸せは、今とここを大切にする東洋の霊性と同じだ。それからここで書かれる「母の愛」は胸に迫る美しさと優しさがある。第十場の生まれる前の子供達を描く部分は、ルドルフ・シュタイナーが始めた人智学に基づいている気がした。このように高度な内容を含みながら、胸躍る冒険の劇として読めるところが素晴らしい。2018/07/07
青葉麒麟
108
目に見えない幸福が一番尊い・・・ってかなり深みの有る言葉にグッと来た。2011/07/07