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新潮文庫
発掘捏造

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  • サイズ 文庫判/ページ数 306p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101468235
  • NDC分類 210.2
  • Cコード C0121

内容説明

「あっ、埋めている!」二〇〇〇年十月二十二日早朝、ひとけのない宮城県上高森遺跡の発掘現場で撮影された驚愕ビデオ。考古学界はもとより、日本中の話題をさらったこのスクープはいかにして生まれたのか。「神の手」と呼ばれた男「F」の疑惑を追って極秘取材が始まる。張り込み、隠し撮り、また張り込み。粘り強い記者たちの執念と息詰まる取材現場のすべてをお届けする―。

目次

第1章 スクープの背景
第2章 取材活動の開始と推移
第3章 決定的瞬間をとらえる
第4章 報道の影響と課題
座談会
シンポジウム「前期旧石器問題を考える」

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

213
これは新聞社の大スクープだろう。藤村さんの発掘した遺物が偽物だったことを暴いた記録。カメラを仕掛け、不正現場らしきものを捉えるまでの緊張の瞬間が活写される。暴露後、周囲の学者の反応で、際立つのが「専門の先生がついていらっしゃる。不正は不可能。」というもの。STAP細胞のときもこんな話を聞いたような。日本独特の火山灰に起因する酸性土壌は、年代測定を困難にしていて、不正発見に不利に働いた。今回のことで他の遺跡にまで疑惑が及んだ。これまで不正を疑ってこなかったつけが一気に噴出した感がある。2019/07/30

まーくん

106
この事件は記憶にある。もう20年もたったのか?旧石器時代の遺跡を巡る疑惑。「神の手」と呼ばれたアマチュア研究者が次々と古い層序の地層から石器を発掘し、旧石器時代の存在が3万年前から50万年前、70万年前と遡り、日本の歴史が書きかえられた。その不自然な状況を毎日新聞社北海道報道部の取材班が追い、ついに現場を押さえ捏造を突き止める。科学的手順を欠いた発掘調査を許した考古学学界の閉鎖性に大きな責任があったのは間違いない。50万年前といえば北京原人の時代。国際的な調査も含め余程の慎重な議論が必要であったと思う。 2020/11/02

harass

60
2000年の旧石器遺跡捏造事件をスクープした取材班によるルポ。20年前よりアマチュア考古学者藤村は大発見に値する石器をいくつも発見していた。『神の手』と讃えられていて疑問を持つものは少数だったが…… 毎日新聞の地方局の社会部が彼の発掘現場を張り込むことに。二ヶ月の張り込みの末、決定的な瞬間を撮影に成功。当時の新聞やテレビの報道を覚えている。取材班側の事情などいろいろ興味深かった。彼らはほかの取材や業務をこなしつつ張り込みをしていたという。機材のミスで一度撮影に失敗もしている。プロの仕事の実際がよく分かる。2016/09/16

AICHAN

45
図書館本。2000年に暴かれた旧石器発掘捏造事件。暴いたのは毎日新聞。捏造発見までの毎日記者たちの奮闘を公開し、捏造が起きた理由について詳しく検証している。もう17年前の事件だが記憶に新しい。事件が発覚して、なぜそれまでバレなかったのか不思議でしょうがなかったが、その疑問が解消された。こういう捏造はいつだって起こり得ると思った。それを防ぐ学会とマスコミの慎重な対応、そして考古学者個々の自制心が必要だ。これは他の分野においても同じく言えることだろう。2017/12/05

わたなべよしお

25
 いやはや、というか、これは今のところ、21世紀最高のスクープだ。新聞の調査報道のお手本みたいな話だよなぁ。内容は当然、なかなか面白い。石器埋めた奴は大問題だけど、所謂、考古学者という人達も、実にテキトーなこと言ってるので、そっちの方が驚いた。だって原人が建造物を作って、複雑な言葉を話し、葬儀をやっていたなんて。今では全部、アンビリーバブルな単なる想像でしかなくなったけどね。2021/08/25

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