内容説明
作家に拾われた瀕死の子猫は、いっしょうけんめい生き延びた。死のぎりぎりの瀬戸際で「生」に目覚めた捨て猫の命の輝きを、抑えた筆致でやさしく描いた「生きる歓び」。作家・田中小実昌への筆者の関わりと想いを綴った異色の追悼小説「小実昌さんのこと」。生の中の死を見つめ、死の中の生を感じ取る。世界を肯定するための、新しく困難な文学の試みが結晶した短編二作を収録。
著者等紹介
保坂和志[ホサカカズシ]
1956(昭和31)年、山梨県生れ。早稲田大学政経学部卒。’90(平成2)年、「プレーンソング」でデビュー。’93年「草の上の朝食」で野間文芸新人賞、’95年には「この人の閾(いき)」で芥川賞を受賞。’97年、『季節の記憶』により平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞の両賞受賞
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