新潮文庫<br> 武装島田倉庫

新潮文庫
武装島田倉庫

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  • サイズ 文庫判/ページ数 214p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101448114
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

時はおそらく近未来。ある「戦後」の国境地帯。街や道路は破壊され、油泥にまみれた海には、異態進化した獰猛な生物が蠢く。混沌としたこの世界に、組織略奪団や「北政府」と呼ばれる謎の勢力と闘いながら、たくましく生きる男たちがいた。頼れるものは、自らの肉体と才覚のみ―。異様だが、どこかノスタルジックな世界を、独特の言語感覚で描きだしたシーナ・ワールドの真骨頂。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おにく

29
椎名さんのSFとしては"アドバード""水域"に次いで3番目に発表された作品で、荒廃した世界で何度も登場することになる百舌(もず)や灰汁(あく)らの若い頃が描かれた短編です。各話それぞれ繋がりがあり、話も中盤辺りから徐々に面白くなって行くのですが、序盤は近未来というより昭和かと突っ込みたくなる人間模様で、何度か投げ出しそうに。それでも先日読んだ傑作選では、独自の文化が根づき、奇妙な世界観を形成していくようなので、興味のある方は"北政府"シリーズの最初期の作品として読んでみては? 2019/08/31

takeapple

20
1990年以来の再読、面白いねえ。椎名誠は短編作家なのかなあ。自身の倉庫勤務やカヌー、キャンプ、世界各地への旅の影響が大きいのだろう。ありえない設定なのにね、すぐそこに存在しているような自然さ。北政府ものをまとめて読みたいです。2018/08/06

シャル

10
北政府との『戦後』の奇妙な奇妙な世界を舞台にした、連作短編集。この話のキモはなにはともあれその世界にある。化学兵器によって異常進化し変質した生物、戦争が残した様々な遺産、荒廃の中で油にまみれた世界、そしてそこに暮らすまったく洗練されていない人々。そのどれもが、SFを感じさせながらもそれ以上に泥臭さと生活臭を漂わせる独特の世界を構築し、それを読者へと流し込む。まったく異なった話であるそれぞれの短編の中の共通点が、それを強調している影響だろうか。まさに異常世界を眺め、味わうことのできる不思議な一冊。2013/08/02

スカイバニラ

9
油と泥の混ざった海と異常な進化を遂げた生物が棲む近未来。この世界に住む人々の視点を通して描き出された連作短編集。就職の為、島田倉庫の面接を受けに来た男。漬汁屋の主人が始めた油泥の海を渡る連絡船、その操舵士と進路係りの盲目の美女。十六輪装甲貨物車に乗ることになった青年や九足歩行機カニムカデの操縦士としてとある浜にやってきた男。この世界の住民にとってはコレが普通なので世界観の説明もなしで話はどんどん進む。そんな彼らの視点を通して、このもの凄く異常だけれど何処か魅力的な世界を堪能できる小説。2011/09/23

なつき

8
小説『武装島田倉庫』読了。椎名誠ですよ。『アド・バード』に続きまして。ちょっとずつ楽しむ読書を久方ぶりにした。だいぶ長い期間かばんのなかに入れて、読んでた。私だって新鮮な体験というのはそのようにして味わっていくのですな。すげえね。日常的な世界観がパズルのようにぐらぐらする感覚。2017/11/30

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