感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OHモリ
25
・もう30年以上前、20代後半の頃この本を読んで椎名誠の世界に憧れていた。世代も自分よりは10年くらい上だし、中高校時代に書かれているような暴力的な体験があったわけでもないのに何だか学生時代を思い出して共感というか郷愁を感じてしまう。そう、タイトルにあるように「哀愁」なのかもしれない。還暦を過ぎて読みお直しもなかなかいいなと思った。そういえば、学生時代は大学近くの月8000円くらいの下宿に住んでいて怪しいい人たちが出入りしていたこととも一因かも?2023/07/08
BlueBerry
20
カツ丼の所の話しが秀逸。楽しくて美味しい話しでホカホカ気分になれました(笑。お勧め。2012/12/13
キムチ27
19
少し上の「おじさん世代の青春期」だから、ちょっと空気を見知っているからか、結構サクサクと読み進んだ。舞台は克美荘。弁護士の木村氏やイラストレーターの沢野氏をテレビで見たことがある為 イメージしやすくなり、まさに「若き日の懊悩」を行動化すると・・という文章。もっとも、ここまで書かれるから「友達に文筆業がいると嫌なんだけどね」 執筆後叩き直したのが1994年。其処からも30年経ているわけだから、私の子供世代が読むとどうかなと思いつつ、人生行路の舵の取り方は参考になると思った。人を大切にするシーナの本領発揮。2013/11/30
リードシクティス
18
『まんが道』から漫画を引いて、酒と喧嘩を足したような日々。全編に溢れる昭和臭がたまらない。狭く汚く暗いアパートでの男4人の共同生活。実際に同じことをやったらうっとおしくて数日で嫌になりそうだけど、一度は経験してみたかった。椎名氏の食べ物描写は、貧乏食でもとても美味そうで感心するが、これを読むと毎回カツ丼が食べたくなる。いやむしろカツ丼を食べるたびにこの本を思い出す。終盤に仲間たちがひとりまたひとりとアパートを離れていく辺りはまさに哀愁漂う。ラストの朝のまだ人気のない東京都心の空気感もたまらなく好きだ。2015/02/04
佐藤一臣
17
下巻は、克美荘時代と新橋サラリーマンに成りたて時代で埋まっている。上巻同様の雰囲気だが、後半のサラリーマン生活が面白い。昔の中小企業はこんな感じで、かなりいい加減な仕事体制だが、やることはきっちりやるというところが読んでいてカッコイイなと思う。洗練されていないけど、日々を楽しく苦しく生きる。こうしたことを今はみな忘れているのではないか。明日や明後日のことを考えるのではなく今この時を生きる感じ。確かに刹那的であるかもしれないけれど、杞憂よりはましだろう。心配したって始まらない。2017/05/31