内容説明
ついに中山国は滅亡した。祖国を失った楽毅は趙の主父から仕官の誘いを受けたが、折しも王位の継承をめぐり趙では内戦が勃発。主父は無惨にも餓死に追い込まれた。諸国を転転とし雌伏のときを過ごしていた楽毅の前途に光明がさす。楽毅の将才を高く評価する燕の昭王が三顧の礼で迎え、大望を託そうとしていた…。三国志の諸葛孔明、劉邦らを魅了してやまなかった名将を描く歴史巨編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
137
楽毅という春秋戦国時代の名将の大作を読めて本当によかった!この4部目は燕での活躍がメイン。昭王は聖人君子ではないが、相手からの指摘を受けて入れる器を大きさがあった。その器に生けられた大輪の花が楽毅だったのかなと思った。そのため昭王が亡くなり、公子がその器より小さかったため、燕を去った。燕を去った楽毅に対して、嫌味などを言って、楽毅が公子に対して長文をしたためるまで楽毅の気持ちがわからなかったのが残念であった。1つの大きな物語を読んで、歴史を知ることが現代の物事の輪郭をはっきりしてくれるものだと思った!2021/09/23
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
72
良かったです! 最初は誰も気にも留めなかった楽毅という人物が、持ち前の戦略眼を駆使してやがて稀代の名将として一国を支配できる立場へと駆け上がっていきますが、それまでに受けた恩を忘れず変わることのない謙虚で誠実な人柄が清々しく印象的でした。「人がみごとに生きることは、むずかしいものだな。」、そう感じることができる人こそ、そういった生き方ができるものなのだなあと感じました。大作ならではの読後の心地よい疲労感と満足感、しばらくしたら他の宮城谷作品にも挑戦してみたいです^^2017/01/14
KAZOO
59
楽毅の最終巻です。私は楽毅の名前を知らなかったのですが、この本で結構諸侯の間では高名であったのですね。このような評価というものがどのように伝わるのかを知りたい気がしました。現代でも同じようなことが起きているのではないかと思われます。最近でいえばサントリーの社長とかありますが、楽毅の時代は生死にかかわることが多いのに生き延びてほかの国の王から厚遇を受けるということでやはり人物なりとそれをまた観る目が重要だったのでしょうね。」2015/04/02
キジネコ
42
燕王に変わって斉を撃つ!無形の形を至上とし、無声の声を一人聞く楽毅の果たした偉業は揺るぎない中華の伝説となりました。孫子の教えを己の実践の場で昇華し無人の高みを舞う鴻鵠、楽毅の大義とは一体なんだったのだろう?と4巻を読み終えて考えています。失う事で楽毅は信を得ます、人は彼をて崇め、其々の胸裡に永遠の栖を与えます。見事に生きるという命題に立ち向かう作家の問と楽毅の格闘は、執着、拘りを捨てて知る無形の形を教えて終わります。低い空を跳ねる燕雀の如き不徳の読者は蒼天を翔ぶ鴻鵠に何時か其処へと、そっと誓いました。 2015/03/07
Haru
36
うん、やっぱりいままで読んだ宮城谷さんの中では、一番好き。余計な(笑)女性観察もないし。戦国時代の小国の在り方がよく分かりました。もっと孟嘗君と頻繁なやり取りがあるのかと思ったけれど、この時代の通信網ならこんなものなのかしら。会社でもよく思うけど、やっぱり上に立つ人の器量がすべて。2019/08/04