内容説明
秀明を見つめ続ける不気味で執拗な視線。秀明がどこにいても、何をしていてもその「目」は彼から離れない。大学生になった秀明は、美貌の音大大学院生カンナに恋をした。その恋は、今までの浮かれた恋ではなく、本気の恋だった。そして、その「目」は狙いをカンナにも広げた。激しい恐怖がカンナを襲う。秀明は立ち上がった…。哀しく切なすぎる恋心を描いた青春ホラーの金字塔。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
48
西洋のホラーというより、平安の昔から延々と語り継がれてきた怨霊の話を現代化したものでした。その分新味はないわけで途中は怖いよりはハラハラしました。それでいて結末は背筋が凍おる感じ。ミスリードにまんまと引っ掛かったのは内緒にしておこう。行ってほしくないほうに話は転がりましたが、とりつくのはやっぱり｢あなた｣だけでええやんかと。2015/10/06
ユミコ
42
う～ん、途中で飽きてきた。なぜ秀明にそんなに執着するのか？例えばものすごく好きになる何かエピソードとかでもあればまだ理解出来るのかもだけど、こんな男の何処がいいのか…さっぱりわからん。一番の災難は樋口くん。それはないでしょ～可哀想過ぎる。2016/10/08
やっち＠カープ女子
41
「あなた」のことを好き過ぎて取り憑いた霊。メールのやり取りもまじえ、人間模様、気持ちの描写も良く伝わり、読みものとしてはそれなりに楽しめたけど…乃南さんの作品は全部当たりだったのでちょっと肩透かしな読後感。2014/03/01
さくゆめ
40
いつどんな時だって「あなた」へと向かう「私」の感情は、愛などでは生ぬるい。これはもはや盲目の執着、人が抱くありとあらゆる感情をつぎ込んだ愛執だ。下巻に入って更に加速するホラー、狐憑きや霊媒師まで出てくるというベタな展開に、若干のチープさを感じる人もいるかもしれない…が、私は支持する。そして外せないのが秀明の急成長っぷり。上巻ではただのDQNだったのに、本気の恋は人をここまで変えるのか。カンナとの絆も深く、お互いがお互いを”自分が守る”と思っているのが素敵だった。狂乱の愛の結末は、やはりどこまでも哀しい。 2019/08/29
まさきち
38
冒頭からなんとなく不穏な現象の原因はわかるものの奥歯に物の挟まったような展開にイライラし、最後まで読み進めてみたもののあまりひねりのない、そのままの結果に少々がっかりしました。ですが言いたいことには多少共感できるものがあったような。でもやっぱり乃南さんは変にSF・オカルト的なものではなく人間観察の妙あふれる小説のほうが魅力があるように感じました。2014/01/03
