内容説明
離婚するのかしないのか、夫と話し合う喫茶店。洋子と背中合わせの席から「馬鹿だな」という声が聞こえてきた。若い娘と向かい合って座る灰色のコートの背中。淋しそうなその肩を、洋子が忘れるはずもなかった。意地悪な偶然に弄ばれ、かつての恋人の述懐を背中越しに聞かされる人妻の緊張を描く表題作を始め、ふとしたきっかけで日常の裏側を垣間見る女たちを描く２１の短編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
90ac
37
９３年の作品。これはすごい作品です。わずか１０ページの短編、むしろ掌編が２１話も収めれています。それでいてちょっとしたミステリーのようにワクワクさせられ、そしてきちんとけりを付け、あっと言わせ、余韻までもたせる作風は素晴らしいの一言です。どの掌編も、女同士や男女の駆け引きが巧妙に描かれていて、短編にありがちな物足りなさなど微塵も感じられず、むしろたっぷりと堪能した感じの掌編ばかりです。状況の設定はどれも違い、飽きさせません。どれが良かったかと訊かれても殆んど全部ですとしか言えない。2015/08/28
KAZOO
34
21の短篇が収められています。一つ一つは短いのですが、連城さんの得意の仕掛けがある話がいくつかあってそれこそ長編にでもできるとか、映画やテレビのドラマ化にもってこいの話などがあります。男女間の話がほとんどを占めているので色彩的な印象感がありました。2015/04/05
KI
20
あの日君に言えなかった言葉は人生のしおりとして、今も。2019/02/01
びっぐすとん
11
１０８円本。切ない情感たっぷりなのは流石だが、３0過ぎるとオールドミス(←死語）で、40過ぎての妊娠が超高齢出産扱いなんて隔世の感が・・。夫婦の不仲が子供がいないせいなんて書いたら現在なら顰蹙ものだ。人間の心の機微（心変わりは悲しいとか昔の恋に未練があるとか）は変わらないとは思うものの、取り巻く環境がこうも変わってしまうと社会の価値観が大きく変わり、「昔ならそうだろうけどねぇ・・」と思うところも多かった。昭和生まれだから当時の心理・価値観も理解は出来るが平成が終わる今、共感するかと言われれば出来ない。2018/11/10
🐾ドライ🐾
9
21の短篇。よくもまあ、出逢いと別れを思いつくものだなあ。作者が男女をどうやって別れさせるか、職業『別れさせ屋』みたいになってる🤭 大人の恋愛だとか浮気だとか離婚だとか、ここまで一気に読んだら歌謡曲というか演歌(艶歌)をBGMに生活しているような、自分には非日常世界でお腹いっぱい、もう食べられません。しかしながら、次に読んでる小説も同系統の連城作品で胃もたれ気味なのである…ｩﾌﾟｯ2022/10/28
