内容説明
最初の入門にしくじって、出戻りから、春風亭柳朝の落語家人生ははじまった。気っ風うが良くて喧嘩っ早い、そのうえ野暮が大嫌い。おまけに酒と博奕には目がなくて、女も好きの道楽三昧。しかし、落語のセンスは抜群で、やがて、立川談志・三遊亭円楽・古今亭志ん朝に並ぶ四天王の一角を担うようになったのだった…。粋を貫きとおした、これぞ江戸っ子芸人の破天荒な生涯を描く。
目次
夢の酒
くやみ
代書屋
大工調べ
寄合酒
五人廻し
粗忽の釘
宿屋の仇討
天災
鮑のし〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
宮永沙織
13
小朝の師匠、柳朝師匠の生き様。宵越しの金は持たない江戸っ子の柳朝。お金を入れない旦那に妻のヨリは苦労しっぱなし。お金持ちにならなくても一緒に居られるなら幸せと言えるヨリに涙。オススメ本です。 2010/09/25
高橋 (犬塚)裕道
10
星4.5。再読です。ずっと読み返したかったのに見つからなくて読まなかった。この度無事本棚の隅から発掘されて再読がなかった。ストーリーは勿論面白いが、江戸落語のこともよくわかる。私は金原亭馬生が好きだった、古今亭志ん朝のお兄さんですね。柳朝という落語家の講座を見たことはない。誠に残念である。2021/05/13
時次郎
5
五代目春風亭柳朝師の生き方が、落語に出てくる江戸っ子そのものなので、つい笑ってしまった。そして最後は、じ〜んと。見栄っ張りで豪快でありながら繊細さを併せ持つ江戸っ子の不思議さ。さすがに今はこんな落語家はいないと思う。ただ、弟子や孫弟子にその江戸っ子のDNAは確かに伝わっていると思う。一朝師、小朝師、最近では一之輔師がそうだろう。こうしてみると、落語の一門は、それぞれで随分雰囲気が違うものだと気がついた。自分の好きな一門を探すのも落語の楽しみの一つかもしれない。昭和の落語史を知る上でも非常に参考になる良書。2016/01/30
あさ
2
単行本を誰かに進呈してしまったらしく、文庫でも購入。噺家柳朝の一代記。冒頭の「さあ、師匠。参りましょう。」で泣き、一生を読み終えてまた涙。といっても湿っぽい話ではなくて、わがままで甘えん坊で悪ふざけが過ぎる柳朝と周囲の人々が、また世相が、活き活きと描かれる。本寸法、とか、いい了見、とか、江戸前の生きた言葉を聞きたくなる。師匠に弟子入りする、という世界がこれからはファンタジーになってしまうんだろうか…。2010/10/07
hibimoriSitaro
2
これはすばらしい。噺家の伝記の最高峰と言えよう。表紙カヴァのイラストもまたイイ。たとえ柳朝さんを知らなくとも小朝のファンは読むべし。吉川さん,この調子で四天王ぜんぶ書いてくんないかな。2010/05/11