新潮文庫
ひとがた流し

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  • サイズ 文庫判/ページ数 397p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101373317
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

十代の頃から、大切な時間を共有してきた女友達、千波、牧子、美々。人生の苛酷な試練のなかで、千波は思う。「人が生きていく時、力になるのは自分が生きていることを切実に願う誰かが、いるかどうか」なのだと。幼い頃、人の形に作った紙に願い事を書いて、母と共に川に流した…流れゆく人生の時間のなかで祈り願う想いが重なりあう―人と人の絆に深く心揺さぶられる長編小説。

著者等紹介

北村薫[キタムラカオル]
1949(昭和24)年、埼玉県生れ。早稲田大学ではミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、’89(平成元)年「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。’91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。作品に『ニッポン硬貨の謎』(2006年本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

❁かな❁

178
とっても素敵な作品でした♡だいぶ前に『月の砂漠をさばさばと』を読み、続編を教えてもらい、読みましたが成長した、さきちゃん親子のその後がわかり嬉しかったです♬10代から40代まで続いている女友達。みんなの強い信頼関係、さきちゃんと牧子の親子関係など何度も感動して涙しました*前作でもそうでしたが私にも1人娘がいるので重なることもあり、益々じーんとしてしまいます。どの登場人物のエピソードも感動的*とても温かさを感じ、北村薫さんの作品、久々でしたがやっぱり大好きだなぁと思いました♡印象に残った言葉はコメント欄へ。2017/02/23

yanae

145
「月の砂漠をさばさばと」がとてもよかったので、成長したさきちゃんに会えると知って手に取りました。今作も素敵でした。さきちゃんのお母さんの牧子と千波、美々の三人の友情物語。40を過ぎた女性達の幸せや苦悩が描かれています。辛いときに助け合える三人の関係が輝いていて本当に素敵だった。今回は悲しい別れもあるけど、苦しいからこそ出てくる言葉には心打たれる。個人的には類と玲の会話に感動。類の言葉には何度も心に染み入りました。北村さんは本当にすごい。良作でした。2017/10/14

ぶち

122
若い母と幼い娘の二人のチームの物語が、三人の成熟した大人の女性の物語になって戻ってきました。三人だけではなく、そこには若い娘も夫もいて、暮らしに、ときには人生の試練に、同士のように共に向かっていきます。さりげなく語られる物語ですが、同士の絆の深さに心が揺さぶられます。 人生の折り返し点を過ぎてから、少女時代、青春時代の思い出を語れる友が傍らにいる幸せ。生きていくとは、きっと小さな何気ない事柄の積み重ねだろうし、それを共有してきた友が、共に生きてきた友がいるということが、心の支えになるのだろうから。2020/01/13

ユメ

110
牧子とさきちゃんが、年月を経ても真摯に向き合っていたことが嬉しい。何より、さきちゃんが「さばのみそ煮」を覚えていたことが。女友達、夫婦、親娘…相手に伝えたいという願い、脈々と受け継がれてきたと感ずるもの、胸の内にしまっておきたい呟き…人と人の間を流れる想いがひしひしと胸に迫る。すぐに読み返すのではなく、自分が千波たちと同じ年頃になるまで大事に寝かせておきたいな、と思った。その頃私の傍には自分のことを切実に願ってくれる人がいるのかどうか、そもそも生きているのだろうかー不安になるほど、物語に揺すぶられている。2015/10/21

nico🐬波待ち中

109
『月の砂漠をさばさばと』のさきちゃんの続きが読める作品。十代の頃からの女友達三人は、四十を越した今でも変わらず付き合いを続ける羨ましい関係。この三人の内の一人がさきちゃんのお母さんの牧子さん。さきちゃんが伸びやかに素直に育ったのは牧子さんとその女友達のお陰であることは間違いない。ラストはもう泣けて泣けて仕方がなかった。さばの味噌煮を見る度に、牧子さんが作ったあの可愛らしい替え歌と、いつも前向きだった女友達のことを思い出すのだろう。女同士の、目には見えない確かな絆をしみじみと噛みしめる物語。読めて良かった。2018/05/19

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