新潮文庫<br> 何もなくて豊かな島―南海の小島カオハガンに暮らす

新潮文庫
何もなくて豊かな島―南海の小島カオハガンに暮らす

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 262p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101372211
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

周りは青い珊瑚礁に白い砂。風の音と海鳥の声が耳に心地よい。ああ、今日も予定は何もなし。椰子の木陰でまたひと眠りだ―。セブ島の沖合にある小島・カオハガンと運命的に出会った著者。退職金で島を買い、350人の島民と共に暮らす生活が始まった。最新情報や便利なモノは何一つないが、美しい自然の中でゆったり人生を楽しむ人々。人間の幸福や豊かさとは何かを問いかける本。

目次

第1章 カオハガン島までの長い航海
第2章 南西の風「ハバカット」の吹く季節
第3章 北東の季節風「アミハン」が吹きはじめる
第4章 乾季、そして島の夏
第5章 新しい風

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐々陽太朗(K.Tsubota)

94
「何もなくて豊かな島」とは「何もないからこそ豊かな島」なのであった。天気が良いから、あるいは悪いから、誰かが訪ねてきたから、ぶらりと歩いていたら誰かに会ったから、何かを目的として計画的に動くのではなく、その日その日の自然の「ゆらぎ」に身を任せてしまう。何もしない、何も考えない。もちろん約束などしない。本当に必要なものしか持たない。そんな幸せのかたちがあることを私は知らなかった。知ってしまったからと云って、どうなるものでもない。しかし私の中で何かが変わってしまったのは確かだ。2014/08/22

机上のクローン

31
フィリピンの小さな島の所有権を買い取って元からいた島民達との暮らしを模索していくエッセイ。「何もなくて」は日本人読者への説明的な語句であってむしろそこにしかないものがある。教育の問題や医療の事など心配な面もあるが先の事を気に病んでしまうということのない気候風土が魅力。あくせくするのではなく、このようにゆったりと流れる時間の中で暮らしたいものだ。他の周囲の島と比べると著者がこの島に関わった事は大きそうだ。人口問題とか観光開発問題とかゴミの事とか島民達だけでは考えられなかった事も多いだろう。島の将来が楽しみ。2020/05/17

ヒロユキ

19
豊かな自然に囲まれた熱帯の島での生活…憧れの生活ではあるが、便利な都市生活の恩恵を享受している身では、電気・ガス・水道のない生活を送れるほどの技術は持ち合わせていないので、大きな海と空と風に囲まれた島での生活は今のところ、憧れとしておこう…。ただ、マクタン島からカオハガン島を眺め、海と風とココ椰子に囲まれて風に吹かれながら、ゆっくりと本を読むときに感じた…そのゆとりは忘れずに生活を送っていこう。2013/10/21

redbaron

18
幸せの感じ方は人それぞれ。こういう幸せもあるのよね。でも、お金がないとこの幸せは手に入らなかったわけで、お金って必要なのね…と、ひねくれた感想です。だって、この島の「クラブ」の入会金が当時で100万円でしょ。入島料も必要だし。良い悪い関係なくお金の必要性を同時に感じさせていただいた本でした。あたしは天邪鬼ですので、こんな感想は気になさらずに。2016/07/21

ぺぱごじら

18
気儘に本棚整理をしていたら発掘。96年(28歳頃)の本。そんな歳で南の島欲しい疲れてたのか自分(笑)。87年頃フィリピンの小島(東京ドーム位)は200万ペソ(1000万円)で買えたそうで、今の相場はどんなもんだろ?ただそんな大金で島の所有者になると『私有地:入るな』位やりたくなるものですが、筆者はあくまでも先住民との共生に拘る。島の人付き合いに心を砕く様子はあるが、街とは異なる柔らかい時間に晒される様子は微笑ましい。まだまだ世俗の垢にまみれていたい自分ですが、いつかこの境地に辿り着く日はあるか(笑)。2012/06/02

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/530645
  • ご注意事項