内容説明
江戸・深川の料理屋「ふね屋」では、店の船出を飾る宴も終ろうとしていた。主人の太一郎が胸を撫で下ろした矢先、突然、抜き身の刀が暴れ出し、座敷を滅茶苦茶にしてしまう。亡者の姿は誰にも見えなかった。しかし、ふね屋の十二歳の娘おりんにとっては、高熱を発して彼岸に渡りかけて以来、亡者は身近な存在だった―。この屋敷には一体、どんな悪しき因縁がからみついているのだろうか。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960(昭和35)年、東京生れ。’87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。’89(平成元)年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞を受賞。’92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞を受賞。’93年『火車』で山本周五郎賞を受賞。’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞を受賞。’99年には『理由』で直木賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
295
多くの方にお薦め頂き読み順Up した宮部みゆきの時代小説。読み始め数十頁で早くも面白そう。修行を積んでふね屋という料理屋を出すことになった夫婦、この真面目な夫婦の元に生まれる子供たちは不幸にも次々と早世。ようやくすくすく育ったおりんも、重い病にかかり生死を、三途の川をさ迷う。運良く生還したおりんには不思議な能力が?おばけが見える!おばけと話ができるのだ!ふね屋は開店早々トラブル続き、成仏できないおばけもうようよいるし、幼きおりんの好奇心が下巻でどんなドラマを生むのか❗超面白くなりそうな予感しかない‼️🙇2019/03/30
kaizen@名古屋de朝活読書会
267
江戸の話。最初のうちは、主人公が誰だかよくわからなかった。幽霊が見える子供が主人公。同じようなめにあった人が、同じ怨念を持つ幽霊が見えるとのこと。すべての幽霊が見える子供は、「上」では謎のまま。一人一人の思いをすこしづつほぐしていく。幽霊の按摩が、どの人間からも見えるというのが面白い。生きている人間こそ、ほぐして欲しいコリがあるのかも。2013/06/11
yoshida
264
宮部みゆきさんの時代物。深川で料理屋「ふね屋」を始めた太一郎と妻の多恵、そして娘のおりん。「ふね屋」の店舗である物件はいわくつきであり、おりんは五人の幽霊と出逢う。初のお客を迎えた時から幽霊騒ぎが始まり、「ふね屋」は暗礁に乗り上げようとしていた。幽霊の玄之介らと話が出来るおりんは何とか解決の道を探すが謎が謎を呼ぶ。宮部みゆきさんの紡ぐ様々な登場人物の個性と謎は読んでいて飽きない。読み応えも抜群にある。個人的には幽霊よりも、生きている人間の方が恐ろしいと思っています。安定の宮部みゆきさんの作品。絶品です。2017/10/02
ehirano1
200
おりん(ヒロイン)の健気さに終始惹きつけられます。また、おみつ(お化けさん)とおりんの「死」や「成仏」についての会話に「哲学」を感じると同時に、何だか肩の力がスッと抜けます。さて下巻では過去の事件の真相が明らかになるのでしょうか?早速下巻へ。2016/12/03
mariya926
143
死ぬほどの病気にかかった後からお化けが見えるようになったおりん。両親は育ててくれた七兵衛の夢である料理屋を開こうとしますが、そこにお化けが出てきてなかなか上手くいきません。お化けと話せるおりんは成仏させようと頭を捻りますが、なかなか可愛らしいです。宮部みゆきさんの時代物はほとんど読みましたが、今回は時代物+お化けバージョン。でも怖いというよりは何かほっこりします。最初はちょっと説明が入るのでまどろっこしいですが、5人のお化けがどうなるのか楽しみです。2019/02/16