内容説明
鞠子の遺体が発見されたのは、「犯人」がHBSテレビに通報したからだった。自らの犯行を誇るような異常な手口に、日本国中は騒然とする。墨東署では合同特捜本部を設置し、前科者リストを洗っていた。一方、ルポライターの前畑滋子は、右腕の第一発見者であり、家族を惨殺された過去を負う高校生・塚田真一を追い掛けはじめた―。事件は周囲の者たちを巻込みながら暗転していく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
341
(承前)一転して殺人犯の肖像画が描かれる。少年時の和明への優越感が続くと勘違いして成長が止まってしまい、社会に出ると思うようにいかない現実に苛立ったところで狂気に囚われて殺人を犯してしまう弱者でしかない。このままなら簡単に自滅したはずが、彼より優秀で他人を操ることに喜びを覚えていた「ピース」に再会して化学反応を起こしてしまう。彼に操られていると自覚せず犯行を繰り返し快楽としての殺人にのめり込む姿は、人の弱さ愚かさをこれでもかと暴き立てる。人は殺人者として生まれるのではなく、殺人者に育てられるのだ。(続く)2021/12/25
ykmmr (^_^)
204
1巻目で死んだ栗橋浩美に焦点が当てられ、胸糞悪い彼を取り巻く周りの人物を描いた2巻である。犯罪に加担させられた高井和明、『謎』の人物ピースに特に興味が惹かれる。栗橋の胸糞悪さが、ADが理由だとすると、宮部さん、現代問題に切り込んでいる。そんな生い立ちと現況を自分で処理出来ずに、問題を起こしてしまう事には胸が痛む。ピースの存在(誰か?)ということと、前畑・塚田がこの先無事で過ごせるか⁇3巻へ。2022/03/05
どんちん
183
非常に続編をソソるエンディングであった(1)だったので、相当期待をしていた。正直、前半は中だるみ状態だった。犯人?の生い立ちはそれなりに必要なのではあるが、寄り道にしては、ちょっと長いかな?中盤からやっと、オオぉきたきた、本題に戻るって感じだな!などとつぶやきつつ、犯人があっという間に死んでしまったので、この先どうなる?とわくわくしながら一気に読み終えた。結果的に、犯人はまだ生き残っているのがわかったわけでだが、いかんせん、まだまだ2/5なので、さらなるどんでん返し、ちゃぶ台返しに期待!2013/06/05
さくゆめ
172
前巻でも思ったが、宮部氏はとにかく引きが上手い。毎回続きが気になる展開を持ってきて以下続く!とやられたら、そりゃあ読者も夢中になるしかない。そう、我々は既に作者の術中に嵌っているのだ。なら、あとはラストまで完走するしか道はない。犯人は二人組、それぞれ違う狂気を秘めた快楽殺人者。ただしそのパワーバランスは、ピースと浩美では猿回しとその猿くらい歴然。彼らが被害者女性を「女優」呼ばわりするのに吐き気がした。千秋、特に鞠子について触れたシーンは…辛い。こいつら鬼畜だ。報いを受けろ頼むから!激しく憤りながら次巻へ。2019/09/03
胆石の騒めき
152
【二】を読み終わった時点にて…。登場人物の一人一人の背景を詳細に記しているけれど、まわりくどさは感じず、むしろ話に引き込まれていく。監禁されている登場人物がTVのバラエティを見る場面の虚無感が印象に残って、TVで映し出されるものは実際に存在する保証はない作られた現実であって、その感覚に浸食されると自身の喪失につながるのではないかなとか考えてしまった。しかし、未だに「模倣犯」というタイトルの意味と、今後の展開は予想がつかない。ただ、映画で中居君がどの役柄だったかは、すぐに予想がついた。確かに、はまり役だ。2018/01/24