内容説明
嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。何となく不思議なところがあるその少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それが全ての始まりだったのだ…宮部みゆきのブロックバスター待望の文庫化。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
539
長い長い序章があって、最後の第6章「事件」で一気呵成に物語が怒涛の如く動き出す。ミステリーとしてはやはり異例の展開である。また、起承転結の構成をとるのではなく、むしろ能の序破急に准えるべきか。タイトルの意味するところもエピソードの語りで明らかになる。そして、これがなかなかに感動的であったりもする。真犯人と彼らの意図するところは、小枝子に類が及ぶあたりで凡その見当はつく。そうではあるが、二人のサイキックそれぞれの役割と働きは想像以上のものである。しかも、二人ともとっても魅力的である。宮部みゆきが造型した⇒2024/01/14
HIRO1970
388
⭐️⭐️⭐️図書館本。本書は超能力者の話でしたが、能力があるからこそ感じ続けなければならない不信感や苦痛や苦悩を丹念に粘り強く反復して表現する事で何ら超能力の欠片も無い私にも感情移入できるフラットなお話になっておりました。情報は無いのは困りますが、あり過ぎても集中出来ず常に散漫になってしまう事は想像に難くなく設定が全く違和感なく腑に落ちました。どういう発想からこんなに複雑なストーリーを編み出せるのか考えてみればそれこそ摩訶不思議で宮部さんは既に一種の超能力者であるのは疑いないなと思い至った次第です。2015/02/13
遥かなる想い
379
何となく不思議な青年、超能力を持つ人間が 登場した宮部みゆきの作品は本当に面白いし、文体もいきいきとしている。宮部みゆきの作品には、心なしか少年を軸にした物語が多いが、超能力とからませながら、その心理をうまく 描写している。宮部みゆきの世界にはまる作品。
ehirano1
365
「模倣犯」の時と同じワクワク感が味わえたことが何より嬉しかったです。先ずはそれだけで至福の時間を過ごすことができました。2017/10/07
ちょこまーぶる
364
本当に20年前の作品なんですかね。皆さんの感想で知るまでは新作だと思って読んでいました。構成とか登場人物のキャラクターや特性が素晴らしいと思います。宮部作品はまだ2冊目なんですが、今更ですがこれからも読み続ける作家さんですね。2012/10/28