内容説明
外交官で歴史家のＥ・Ｈ・ノーマンは、なぜ赤狩りの標的にされ、カイロで自殺したのか？カナダ人の宣教師の次男として軽井沢に生れた彼は少年時代を日本で過ごした。ケンブリッジ、ハーヴァード大学で歴史を専攻、１９３９年カナダ外務省に入省。マッカーサーの腹心として、占領下の日本の敗戦処理に尽力し、エジプト大使として、ナセルの信頼を得てスエズ危機を回避した。彼の光を影を追う。
目次
第１章 ノルマン一家
第２章 学生時代
第３章 学者への道
第４章 歴史家ノーマンの視線
第５章 「疑惑」
第６章 スエズ危機解決功労者の跳躍
第７章 ノーマンの予期しえなかった展開
第８章 「波紋」
終章 ノーマンの復権
著者等紹介
中野利子［ナカノトシコ］
１９３８（昭和１３年）東京生れ。慶応義塾大学文学部史学科（西洋史）卒業。中学、高校の教師を経て、フリー・ライターになる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
54
2014.02.02（02/01）（つづき）中野利子著。 02/01 （ｐ020） 父、ダニエル、母、キャサリンともに英国→カナダ移民二世。 ダニエル・ノルマンは。1864生まれ。 トロント北部オーロラ付近自営農場。 10人兄弟、9番目。 母親は敬虔なクェーカ―教徒、２４歳まで農場で働く。 2014/02/02
i-miya
53
2013.12.24（12/24）（再読）中野利子著。 12/23 （ｐ018） 長野市人口、当時５万人、白人は同じカナダから聖公会宣教師ウォーラー一家だけ。 1909-1957（＝ノーマン）。 平日の午後は子供たちにとって遊びタイム！ 遊び相手は日本の子供たち。 ゲジゲジ山（旭山）やゴロゴロ山。 2.ノルマンさんの息子。 日本人もエジプト人も、ともに外国人と話しているとは思えないほどのかれの自然さ。 2013/12/24
i-miya
50
2013.11.17（2013.11.17）（再読）中野利子著。 2013.11.17 （カバー） なぜ赤狩りの標的にされ、カイロで自殺したのか。 カナダ人宣教師の息子、次男。 少年時代を日本で過ごす。 マッカーサーの腹心、日本の敗戦処理。 エジプト大使、ナセル大統領の信頼を得て、スエズ危機を回避。 （本文） （序章） Ｈ.ノーマンの自死、Ｓ32（1957）.04.04のこと。 スエズ危機ｔ呼ばれていた第二次中東戦争、さなかのこと。 中野利子、18歳。 2013/11/17
猫丸
12
恥の観念とは、旧日本主義的すぎるのだろうか。最近とみに考える機会が増えた。隣国へのヘイトを躊躇わぬ下劣な物言い、自覚的に虚偽を喧伝することで自らの価値を超える利権を護持する醜悪な相貌。恥の意識を欠く一方で伝統的武士道を称揚できる恥の上塗りは度し難いものがある。美しい日本への復古を掲げる日本会議が自らの醜さを感知できない失見当識ぶりは、我が国の知的水脈がまさに絶えなんとする断末魔に見える。マッカーシズム。恥知らずな愚者の咆哮が真のエピキュリアンを葬った。H.ノーマンの自死は、痴愚の再生産の速さを表す。2020/12/12
Ted
5
'01年11月刊。○日本で生れ育ち、GHQの政策にも影響を与えたが、赤狩りのスパイ疑惑により赴任先のカイロで自殺したカナダ人外交官の評伝。真相は藪の中だが、ノーマンに好意的な著者(中野好夫の娘)は取調べで密告を迫られ、多くの友人に迷惑が及ぶのを苦にした末の自殺ではないかと推測する。知己の誰もが「こんなに温かい感じのする人には会ったことがない」と思うような雰囲気の人物ゆえに悲劇的な結末が惜しまれる。赤狩りの渦中で「無実だけでは不十分」とノーマンがいみじくも言ったように妙な疑いをかけられないような狡さも必要。2017/04/22
