内容説明
1992年冬の東京。元IRAテロリスト、ジャック・モーガンが謎の死を遂げる。それが、全ての序曲だった―。彼を衝き動かし、東京まで導いた白髪の東洋人スパイ『リヴィエラ』とは何者なのか?その秘密を巡り、CIAが、MI5が、MI6が暗闘を繰り広げる!空前のスケール、緻密な構成で国際諜報戦を活写し、絶賛を浴びた傑作。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
407
空間的にも時間的にも構想が大きい。しかも、それでいながら構成力は実に緻密だ。謎のコードネームを持つ「リヴィエラ」を誰もが追うサスペンスと、登場人物たちが互いに織りなす関係性の緊密度も見事。また、主人公(少なくても上巻での)ジャックの孤独と、彼が醸し出す悲哀の感覚も他では得られない。さらには、ピアノの調べとピアニストのシンクレアとの交情が小説に固有の抒情を添える。つまるところ、本書は(まだ半分までしか読んでいないのだが)これまでに日本語で書かれたハードボイルド小説の最高峰に位置する作品ではなかろうか。2017/06/01
Tetchy
178
物語の中心は《リヴィエラ》という白髪の東洋人とだけ判明している謎の人物。しかしこの人物は姿を見せず、物語冒頭で殺害されたジャック・モーガンの、死に至るまでがメインに語られる。つまり彼の死から始まるこの物語はつまり、主人公の死から始まる物語なのだ。東京の高速で見つかった異国人の波乱万丈の人生に昔彼に関わった男がその過去へと踏み込んでいく。《リヴィエラ》という名を手掛かりにして。複雑に絡み合った人物相関。それらはジャックの生い立ちに沿って現れてくる数々の登場人物が彼に語ることで次第に明らかになってくる。2018/10/15
yoshida
153
数年前に読もうとして物語に入り込めず挫折した作品。今回は読み進むに内に、ぐいぐいと引き込まれた。アイルランド、イギリス、アメリカ、中国、そして日本の諜報機関が入り乱れての構想の大きさ。そしてテロリストであれ、スパイであれ、丹念に魅力的に描かれる登場人物の心理。それらをじっくりと実に緻密な文体で読ませる。特に登場人物達の内面を描く筆力が見事で叙情性を生んでいる。今まで高村薫さんの作品を読んで来なかったことが実に勿体ないと思う。個人的にはケリーとサラの無事を願う。日本で書かれた諜報小説として屈指の作品だろう。2018/12/22
ehirano1
136
これはいろいろな意味で濃厚過ぎですwww。本書の登録に対する感想が約20%というのはドロップアウト率も高いのでは?と余計なことを思ってしまいました。当方は、著者の『黄金を抱いて翔べ』で2回もドロップアウト中ですので、最早根性でなんとか読み切りました。もうくったくたなのですが、下巻を捲っている自分が恐ろしいです・・・。2020/05/02
ダイ@2019.11.2~一時休止
113
感想は下巻に。でも登場人物表に出ててもほぼ登場しない人物が・・・下巻で活躍するのか?。2015/12/22