新潮文庫<br> 異端の大義〈上〉

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新潮文庫
異端の大義〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 531p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101335728
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

シリコンバレーからの帰還―。世界有数の大手電機メーカー・東洋電器産業の高見龍平は、米国の半導体開発部門撤退という大任を果たして帰国した。長い海外勤務から戻った彼の目を驚かせたのは、創業者一族とその取り巻きによる恣意と保身の横行。入社同期で一族に連なる人事本部長へ直言するが、それが仇となる。高見は、工場閉鎖という過酷なリストラ業務を命じられてしまった。

著者等紹介

楡周平[ニレシュウヘイ]
1957(昭和32)年生れ。慶應義塾大学大学院修了。’96(平成8)年、米国企業在職中に執筆した『Cの福音』が、いきなりベストセラーとなり、衝撃のデビューを飾る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

250
手垢のついた内容ではあっても、腐敗企業の社内政治話は、どれもそこそこに面白い。この作品では、主人公高見は、MBAを取得し、長年海外勤務の、わかりやすいスーパーエリートタイプに設定され、どちらかというと、共感する点は少ない。しかし、そういうバックボーンがあってこその、物怖じしなさや、長いものに巻かれない姿勢に、説得力はある。作中でたびたび言及されるように、題材が、工場閉鎖やリストラといった、後ろ向きなもので、展開は地味。下巻でどう着地するのかも未知数。現段階では、駄作/良作どちらにもなり得る。2022/04/16

まつうら

38
時代は2000年前後、業績不振にあえぐ国内の総合電機メーカーが舞台だ。シリコンバレーからの撤退、半導体不況に伴う事業再編、それに人員削減と、後ろ向きな話題ばかりでなんだか乗り切れずに読み進む。しかしながら当時の総合電器メーカーの構造的な不振の実情としてはなんとも生々しい。創業家一族が幅をきかせている様子にパナソニックを思わせる東洋電器産業だが、不当人事に苦しむ主人公の高見は、さながら「沈まぬ太陽」の恩地のようだ。上川隆也が恩地を演じていたように、高見も上川隆也に見えてくるから不思議だ。(下巻に続く)2022/06/30

B-Beat

38
★司馬作品の大作を読み終えてふと手に取った積読本。世代的にも近く、外資系メーカーに勤務しその盛者必衰の様を目の当たりにした経歴に親近感を抱いていたお気に入り作家さん。久しぶりの上下巻一気読み。私事ながら20年前のこの時期父が余命数カ月を宣告された。偶然手の取った本作でも主人公に同じような場面が出て来る。家族への思いを断ち切りながら日常の仕事に没頭するというか組織の一員に徹するということ。当時を思い出しながら食い入るように読み進めた。組織の中で管理する側とされる側、そのどちらに立つことになるかの分かれ道。続2016/06/15

Walhalla

28
バブル崩壊後、業績悪化に苦しむある日本の大手電機メーカーと、そこで働く主人公の過酷な業務を描いた作品です。 下巻に続きます。2019/03/26

シュラフ

13
総合電機メーカーである東洋電器を舞台にした経済小説。物語は韓国・台湾勢の攻勢に押されて米国での半導体事業から撤退するところからはじまる。主人公の高見は現地での撤退作業を終えて日本の本社に戻る。しかし、苦境の東洋電器は早期退職勧告、半導体事業の切り離し、工場閉鎖、など次々と不採算部門の切捨てをはかる。福祉年金の話なども出てくるから、おそらく松下電器がモデルなのだろう。人事のあまりの非情さに背筋が凍る。夢も希望もない話であるが、人事部という組織が強権をもつ日本企業のいびつさが浮き彫りになる。       2014/02/05

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