内容説明
賛否入り乱れる基地問題！「反対」で生計を立てている人もいて、ことはそう単純ではありません。民（みんな）が主役の民主主義は、でも実際に現地を訪れると、その「みんな」が意外と見つからないのです。「世論」、「国民感情」、「国民の声」の主は誰か？米軍基地問題、諌早湾干拓問題、若狭湾原発問題―日本の様様な困った問題の根っこを見極めようと悪戦苦闘する、ヒデミネ式ルポ。
目次
国民の声―クレームの愉しみ
親切部隊―小さな親切運動
自分で考える人びと―統一教会とマインドコントロール
忘れがたきふるさと―世界遺産観光
みんなのエコロジー―諌早湾干拓問題
ガリバーの王国―上九一色村オウム反対運動
反対の賛成なのだ―沖縄米軍基地問題
危険な日常―若狭湾原発銀座
アホの効用―横山ノック知事セクハラ事件
ぶら下がり天国―富士山青木ヶ原樹海探訪
平等なゲーム―車椅子バスケットボール
からくり民主主義―あとがきに代えて
著者等紹介
高橋秀実［タカハシヒデミネ］
１９６１（昭和３６）年横浜市生れ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、ノンフィクション作家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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takaC
75
今なお現在進行形の、米軍基地問題、諫早湾干拓問題、若狭湾原発問題。どれもややこしい問題だと認識はしていたが、一筋縄で行かない困った問題だということをこの本読んで再認識。「民主主義」って都合よく使われる言葉だよね。2015/10/08
James Hayashi
29
民主主義を噛み砕かれるのかと思い、手に取った書であるが、時事問題の数々をルポしたもの。統一教会、諫早湾干拓、オウムのサティアンで有名になった山梨上九一色、沖縄米軍基地、若狭湾の原発銀座、セクハラ知事のノック、自殺の名所の青木ヶ原樹海などの地元民を訪れ、ネガティヴとポジティブな面をあぶり出している。悪くはないが、2002年に出たものを出版社を変え焼き直しているので、古さを感じてしまう。解説は村上春樹。彼のもとでサリン事件をルポをしたため。2017/06/26
hamham
25
社会問題も現地に入ってみればニュースで伝えられているほど一枚岩ではなく、うまいこと立ち回って金をせしめようとするしたたかな人もいることを知る。現地の人達は当事者であることで問題が日常化し、対策を講じるのも面倒で諦観しているようだ。熱くなるのはヨソ者ばかり。わかっちゃいたけど人間ってキレイで論理的で正義で動くのではなく、易きにつく生き物なのね。読んでるだけで、あ～、めんどいと思考停止。みんなでしあわせになろうよ。10年以上前の原稿だが、原発問題や基地問題の現地は今もシニカルな立ち位置を保っているのだろうか。2014/09/07
ばりぼー
24
「からくり民主の『民』は『みんな』です。『みんな』が主になるのが『民主』。聞こえはよいが、これには矛盾があります。全員が主役になると主役はいないのと同じだからです。そこで『からくり』が必要になるのです。」世界遺産に登録されたため不便な合掌造りに住み続け、「ふるさと」を演出することを強いられる岐阜県の白川郷の保存問題や、米軍軍用地の借地料を村の財源にしているため米軍に出ていかれると困る地元地主の思惑が複雑に絡む沖縄米軍基地問題など、表面的な報道ではわからない社会の裏の構図をあぶりだしてくれる好著です。2020/02/14
MURAMASA
24
本音と建て前を上手に使い分けるのが日本人。というのはよく分かっているのだけど、この国の根本理念である「民主主義」すらも、本音と建て前でうまいこと（皮肉です）回ってるのだな、と分かります。全体を通して読むと、民の声であるはずの世論は、声の大きな「市民団体」か、対立構図を作りたいマスコミの作り上げたものと言えるのかな。沖縄の基地問題や原発銀座の安全問題についても、それを「問題」にしてるのは周囲の人ばかりで、当事者たちはうまく折り合ってやっている。そこにメシの種を見つけようとする人たちのイヤな感じが印象的でした2010/03/11
