新潮文庫<br> 切れた鎖

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新潮文庫
切れた鎖

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  • サイズ 文庫判/ページ数 164p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101334813
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

海峡の漁村・赤間関を、コンクリの町に変えた桜井の家。昔日の繁栄は去り、一人娘の梅代は、出戻った娘と孫娘の3人で日を過ごす。半島から流れついたようにいつの間にか隣地に建った教会を憎悪しながら…。因習に満ちた共同体の崩壊を描く表題作ほか、変態する甲虫に社会化される自己への懐疑を投影した「蛹」など、ゼロ年代を牽引する若き実力作家の川端賞・三島賞同時受賞作。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

421
彼の芥川賞受賞作はしっくり来たのに、この短編集は難しかった。読点でダラダラ文章を続けていくスタイルも、登場人物の誰もがアウトローな感じなのも好みではない。これが川端康成賞や三島由紀夫賞を取っちゃうんだ…という違和感ばかりを抱えつつ(一応)最後まで読んだ。2021/01/11

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

68
☆3.0 『不意の償い』『蛹』『切れた鎖』の3篇を収録。 164頁の薄さなのであっという間に読めてもおかしくないのでしょうが一度中断すると再開するのに時間を要しました。そんな作品でした。2020/12/29

チアモン

55
芥川賞受賞作家田中氏の3編からなる短編集。ページ数少ないが読み終えるのに時間がかかった。じっくり読んでいると少し気持ち悪くなった。濃密であり濃厚であり、あまり体調が優れない方にはおすすめしない。・・・けど私は結構好きでした。2019/09/21

優希

40
おどろおどろしい感じはありますが、読ませてしまう筆致にただ脱帽です。海峡の漁村をコンクリに変えてしまうということで始まる憎悪の物語が圧巻でした。流れ着くように建築された教会への恨みが強ければ強いほど、その負のエネルギーに体が支配されていくように感じます。それぞれの短篇の設定が想像の範疇を超えているのに何故か体に馴染んでいくのが不思議でしたね。物語に体がしばられていくような感覚を味わいます。決して嫌な感じではないのですが、物語に締め付けられていくのはこの人ならではの力なのかなと感じました。2014/07/22

巨峰

30
読みにくくて、あまりにもわからないwが、それでも魅力がある。「不意の償い」は妻の妊娠を契機として妄想の中で狂人のようになっていく主人公を描く。男という性は、確信がもてない哀しみもあるが、それにしても、こんな文章普通の人は書けないぜ。これだけ狂気を感じる作品はめったにない。「蛹」は甲虫の幼虫の視点から、土の中の世界を描く。表題作とあわせて、この2作は、取り残されたものの滑稽な哀れさを描く。これは、なんとなくわかる気がした。三島賞川端賞をダブルで受賞した純文学の傑作(らしいが、僕には、全部はわからない)2010/12/05

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