内容説明
雪が舞い始め、やがて音もなく街を埋めつくす、美しくもどこか秘密を孕んだ冬。その恋は不意に訪れた。永江希和子・24歳。金沢で生れ育ち、母と二人暮し。職場の新年会の着物を新調するために訪れた呉服屋で、希和子の心をとらえた絵柄、そして―新進友禅作家・瀬尾との恋、新しい仕事。歓びと哀しみをひたむきに染め上げる人々。しかし、希節は移り雪とともに秘密も溶け出して…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
68
恋愛小説を読みたい、とこの作品を手に取った私には、不完全燃焼でした。主人公たちが若すぎるせいか、彼らの気持ちの盛り上がりが、全くと言っていいほど伝わってこなかった。ふたりの人生の選び方も、なんだか周囲に流されているだけのようだし。着物の描写は素敵でした。加賀友禅の絵柄をネットで探しながら、なぜか馴染みのある京都を思い浮かべて(金沢は訪れたことがないので)読み終わりました。2015/02/01
も
31
恒、簡単すぎ2016/10/31
月乃雫
31
この本を好きだと思った。冬の金沢の風景も加賀友禅もここに描かれている女性達も。ただ前半がものすごく引き込まれただけに、後半の描き方が、物足りなく感じた。もう少し希和子と瀬尾を丁寧に描いて欲しかった。展開が早すぎた。 「自分の惚れた男が幸せになれば、自然と自分も幸せになる」男性に幸せにしてもらうのではない。その逆だと。お母さんのその言葉にすごく共感・感動したし、日本女性の愛情の深さと強さを感じた。私もそう生きたいと思った。2015/07/19
まゆこ*
22
金沢の描写がとても綺麗。とても大人な内容。愛した人には相手がいて、それでも忘れられないほど愛している主人公がすごく素敵。相手に幸せにしてもらうのではなく、自分が相手を幸せにする。自分の惚れた相手が幸せになってくれることほど幸せなことはない。そんな主人公の母の言葉がとてもグッときた。2015/12/20
ジュリアンヌ
18
展開は読めたものの、ドラマを見る感じでちょこちょこっと読むのに丁度いい。唯川さんの本作のようなライトなものも好きだ。金沢の雪の風景、加賀友禅の美しさが目に浮かんだ。運命を感じた着物の作り手にも運命を感じる、素敵だ。2016/11/11