内容説明
香港の一流ホテルの空室で、スラブ系の西洋人が殺された。被害者はバンコクのソ連大使館員で、腕ききのKGB謀報官であったことが判明する。しかも使用された毒物は漢方系の極めて特殊なもの。「私」と中垣は、共通の知人で、しばらく消息を絶っている薬学者クリコフの仕業だと睨むが―。網の目のように張りめぐらされた伏線が読者を推理の陥穽に陥れる表題作などミステリー8編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
東森久利斗
2
民族と血、勇気と悲劇の物語。歴史と郷愁の交錯する狭間、太平と戦乱戦後の裏路地、歴史的事実とフィクションとの境。誘い込まれ、そして流浪の民ごとくあてどもなく彷徨う。2016/01/21
yoshi
1
ある出来事の語られない背景は当事者には必然だか、他者からみればミステリー。人の数だけ謎が潜んでいて、著書の鋭利な刀で削りだされたフォルムに魅入る至福。2021/02/11
HoneyBear
1
良い短編集だが文体が少し難しい。読み飛ばして少し後悔。
kanamori
0
☆☆★2011/10/17
s - bill
0
陳舜臣さんは「諸葛孔明」で知り,完全に歴史小説家というイメージしかありませんでした。しかし初期には推理物も書いていたということを知り,これを手に取ってみました。淡々とした語り口ですが,しかしよくよく考えるとものすごい執念や因縁が描かれているという…様々な民族の方が出てくることもあり,唯一無二の独特な世界観。彼にしか描けないストーリーです。一作品ずつ読み進めていくうちにドンドンハマっていきました。2024/02/11
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