内容説明
「お願い、私の口の中へお出しになって」―。高貴で貞淑な大学教授夫人が、情事のなかで淫奔な素顔を露わにする「檸檬婦人」。憧れの女性を別の男に寝取られる作家の実体験と、SM時代小説がダブりつつ進行する「卑怯者」。回春薬バイアグラの、面白うてやがて哀しき体験記「勃起薬綺譚」。ますます盛んな「緊縛の文豪」が写しとる、切ないほどの愚かさに満ちた男と女。五篇を収める短篇集。
著者等紹介
団鬼六[ダンオニロク]
1931(昭和6)年、滋賀県生れ。関西学院大学法学部卒業後、職を転々とするが、’57年に文芸春秋のオール新人杯に入選し、執筆活動に入る。「奇譚クラブ」に投稿した『花と蛇』が評判を呼び、以後、『夕顔夫人』『紅薔薇夫人』(現在は『肉の顔役』として刊行)『お柳情炎』『無残花物語』などの作品で嗜虐的官能小説の第一人者となる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
RUN DOG
3
異常に興奮しました。2014/06/07
サイコ
1
団鬼六は汗と肉の匂いをなんと淡々と書くことか。五編の短編は「私」の自伝の体をとっている。老境に入り、倒錯した生活を半ば呆れたように綴る。枯淡とはかの文章のことであろう。2012/09/21
ネオナオキ
1
ポスト鬼六が出現しないものかしら2010/06/10
毒モナカジャンボ
0
表題作、『花と蛇』の静子夫人誕生秘話が明かされていてなるほどとなった。あれだけ鬱蒼と茂る性欲の森についてねばねば書いてきた氏が、自分の性体験の場面になると頭が冴え過ぎるという、現実と想像の倒錯関係を感じられて良い。2020/10/15
ニコラス@ケンジ
0
なんや鬼六先生の創作というよりエッセイか・・がっかりと思いきやきちんとエロいし面白い。将棋に人生を救われた一方で将棋で人生のどん底に突き落とされたりするエピソードが身に染みる。「卑怯者」も背景を知った上で読むと以上に興奮する(バカ)。最後の切腹話はガチすぎてこわい。これもある種のSM?か笑2018/06/03