内容説明
美人でインテリの妻を弟子に寝取られ、逆上するものの嫉妬は昂じ、やがて狂態を収めたテープを聞きつつ自慰に耽る男の「不貞の季節」。あらゆる女性よりも女性的な、日本舞踊宗家御曹司との切ない交合「美少年」。快楽教に堕ちた男女の狂宴の一夜「鹿の園」―責める男と呑み尽くす女が精液と愛液にまみれる三篇、そしてロマンポルノの女王・谷ナオミの哀しいほどに潔い半生「妖花」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
76
エッセイなのか?小説なのか?判然としない短編集。妻の不貞に苦しみつつ自虐的な喜びを見出す「不貞の季節」、学生時代の同性との日々「美少年」、異常性欲者のユートピア「鹿の園」、日活ロマンポルノの谷ナオミを扱った「妖花」。全作品で語られる著者の仕事ぶりが非常に興味深いです。2021/07/11
みつき
24
先生の自伝の何がすごいってどこまでが真実で、どこからフィクションなのか全然わからない事。『不貞の季節』はそこまで書くのかと心配になるくらい妻に不貞を働かれた男の哀愁が滲みでていて痛々しく、『美少年』は冷静な筆致なので、意外に淡々と読めますが、じんわりと悲哀を感じるような作品。『鹿の園』は割愛・・・(笑)『妖花』は谷ナオミの半生を彼女目線で描いているかと思いきや、そうではなく、いつもの団先生目線で、渥美清やたこ八郎、篠山紀信との付き合いも含め、日活ポルノの全盛期を追憶する内容で、裏話が聞けて面白かったです。2013/02/09
辺辺
22
「不貞の季節」:寝取られ興奮って変態。開き直った不倫の強かさよ、関西弁っていやらしい。「美少年」:なんの罪もないのに、菊雄、可哀想過ぎる、男も女も狂った鬼畜だな「鹿の園」:SM倶楽部、踏み入れてはいけない変態の巣。「妖花」:ロマンポルノの女王谷ナオミの半生エッセイ。総して、変態性の強い作品集でした。ただし、レイプは人間の尊厳を傷つける最低最悪な愚劣極まりない行為なため、個人的に女性がレイプされた後、どMに目覚めるわけがないと思うが果たしてどうだろうね。2020/04/29
白黒豆黄昏ぞんび
12
団先生ご自身よりも、谷ナオミに俄然興味が湧いた。よ~し、日活ロマンポルノを観まくるぞ~!2013/04/26
桜もち 太郎
11
官能小説というよりも、作者自身の経験からの随筆という感じがしました。良かったのは「不貞の季節」。不貞・・・、なんという淫靡な響きなのでしょう。妻が自分の信頼する人間と関係を持つ話です。実際にこんなことが自分の身に降りかかると恐ろしい気がしますが、ゾクリとします。淫靡な世界、素敵です。「妖花」ではまだ若く元気だったころの渥美清が出てきます。男はつらいよの寅さんを彷彿とさせるエピソードがとても良かったです。2019/03/21