内容説明
元ＴＶディレクターの葛原順は、教師である妻透子が心を病み、休職したことをきっかけに、３５歳で初めて臨時採用の中学教師になった。画一的な授業に専心する同僚、反抗する生徒、苦悩する親など、荒廃する教育現場で、非行、登校拒否、体罰が続発する中で、葛原はどのような教育を実践するのか―。管理教育を告発し、子どもと大人の真の関係の在り方を問う文庫書下ろし長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さおり
91
数年ぶりに再読。いつの間にか私、葛原順の年齢を超えてました。びっくり。初めて読んだのは高校生の頃で、とても衝撃を受けました。学校に入る前から漠然と将来の夢は「がっこうのせんせい」だった私は、この本を読んで、じゃあ無理じゃん、と思ったんです。先生になりたいと思い続けて高校生になっちゃった私は、もう、いい先生にはなれないんだ、って。あれから、何度もなんども読んで、そのたびに新しい発見をし、今の私を振り返る。私にとってはとてもとても大切な本です。2015/09/17
いっせい
61
30年ほど積んでおりました（笑）発行は平成2年。描かれている教育事情は、今とは違う。この時代の教育を象徴するキーワードとして、管理教育”という言葉が盛んに使われていたけど、令和の今は、果たしてそれを脱していい方向へ向かっているのでしょうか？「子どもが生き生きさかていれば、その教育は真実だ。子どもが大きく変わるようだと、その教育は本物だ。」葛原先生の、大人が求める枠にはめる事無く、子どもの感性と自分で考える事を大事にする教育。1児の父として、改めて、教育とは何か？を考えるきっかけになった。2024/02/04
musis
22
子供たちが、鋭い目線でそれぞれの考えを伝える。今の自分では、子供の細かな規則への疑問に一つ一つ応えることは難しく感じ、また規則を守ることも大切だと感じる。だが、自分が小、中学生の時を思い返せば、口にはしなかったが、確かにこうした純粋な疑問を持っていた。言ってもどうせ否定される、言ってもしょうがないし、と受け入れた。生徒とこうした話し合いの場、時間を十分に設けることは、実際かなり難しいだろうと思う。しかし、日常の少しの時間でも、否定されずに純粋に意見を言える場面を持つことは、生徒の心を癒すだろうなと思った。2015/02/11
イズム（清瀬泉夢）
11
久しぶりに灰谷作品を読みました。奇しくも主人公と自分が同じ年。不思議な縁です。自分も学校教育に疑問を抱いて中学時代かなり荒れた経験を持っています。大人に犯行して、学校にも行かず、教員を敵視する。そんなころの自分が生徒で、もう一人の自分が主人公と、二つの視点から読むことができ面白かった。こういう本と少年時代に出会っていれば、もう少し当時の私はましな生徒だったかもしれないですね。反省ｗ2016/03/26
ねこみかん
9
読み応えがあり、面白かった。子供たちがホームルームで先生たちを論破しているのが気持ちよかった。学校、規則などについて、改めて考えさせられる。大人になってからもう一度読みたい作品。2018/04/13
