新潮文庫
山妣〈上〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 503p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101323220
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

明治末期、文明開化の波も遠い越後の山里。小正月と山神への奉納芝居の準備で活気づく村に、芝居指南のため、東京から旅芸人が招かれる。不毛の肉体を持て余す美貌の役者・涼之助と、雪に閉ざされた村の暮らしに倦いている地主の家の嫁・てる。二人の密通が序曲となり、悲劇の幕が開いた―人間の業が生みだす壮絶な運命を未曾有の濃密さで描き、伝奇小説の枠を破った直木賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hit4papa

60
明治末期、東北の旧炭鉱町を舞台に濃密な人間模様が描かれた作品(上巻)。ホラー小説のイメージが強い作者ですが、本作品もなにやら怪しげな雰囲気を漂わせています。雪山を徘徊する子を喰らう鬼。そんな言い伝えが囁かれる村へ、芝居を生業とする両性具有の青年とその師匠が、村芝居の稽古をつけに訪れます。雪深い田舎の風物、そこに暮らす人々が、美的でもありねちっこくもある筆致で描かれていきます。物語は、一転、過去に遡り、隆盛を極めた村とその周辺の妓楼の娼婦にスポットがあたります。さて、読者をどこに導くのか。下巻に続きます。2018/06/09

takaC

52
インドで暮らしていた頃に手に入れた本。一気読みを試みる。2019/06/05

いくら

30
雪深い越後の山村に東京から芝居の一座が招かれ、そこで濃密な人間関係が織りなされていく「雪舞台」の章。一山当てようと穴を掘る山師と鉱山で働く男たち、彼らを相手とする傾城屋のおんな君香が登場する「金華銀龍」の章。ふたつの章が終わり異形の旅芸人、渡りのマタギ、山姥の繋がりが分かり、この先下巻へ目が離せません。荒々しさと野性味溢れる匂いがする作品。閉塞的なムラ社会の怖さも感じる。2014/08/19

エドワード

30
雪舞台の章。明治時代の越後の国。久しく絶えていた山神様への奉納芝居のため、東京から二人の芸人がやって来る。雪に閉ざされた村で数奇な縁に導かれ、出会う人々。妖しい美青年、涼之助。瞽女の琴。地主夫婦の鍵蔵とてる。異邦人は村人に災いをもたらす運命か。金華銀龍の章。時代は狼吠山が鉱山として栄えていた時へと遡る。遊女の君香と鉱夫の文助は借金地獄から逃れるべく、傾城屋の女将の金を盗むが、文助が一人で金を取って逃げる。一人残された君香は、山で暮らす決心をするが…。君香が廃墟の街をさ迷う光景が凄絶だ。下巻へ続く。2013/10/13

Tetchy

29
ああ、物語、物語。凄まじいほどの物語の力だ。物語の密度が濃すぎて何から語っていいのか解らない。特に閉山前の鉱山町の物語が始まる第二部からが本作の本当の始まりといえるだろう。二部から主役を務めるいさが物凄い。20年もの間、山奥で暮らしてきたいさには人恋しさとか我が子への愛情、男女間の愛情をもはや超越した存在として語られる。いさという女性の強さは母親の強さではなく、自然と共生する事で得た一人で生きていく事から来る強さなのだ。この強さを女性に持たせた作者の意図が面白いと思った。2009/11/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/443103
  • ご注意事項

最近チェックした商品