内容説明
金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。それはメルヘン執筆。こんなわたしに人生の茶柱は立つのか?!あまりにも過激な堕落の美学に大反響を呼んだ「夫婦茶碗」。金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカー(愛猫家)の大逃避行「人間の屑」。すべてを失った時にこそ、新世界の福音が鳴り響く!日本文芸最強の堕天使の傑作二編。
著者等紹介
町田康[マチダコウ]
1962(昭和37)年、大阪府生れ。高校時代から音楽活動を始め、’81年バンド「INU」で『メシ喰うな』を発表。俳優としても活躍する。’96(平成8)年に発表した処女小説『くっすん大黒』でドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞受賞。2000年『きれぎれ』で芥川賞受賞。主な著書に『夫婦茶碗』『屈辱ポンチ』『俺、南進して。』(荒木経惟との共著)『へらへらぼっちゃん』『つるつるの壷』『耳そぎ饅頭』『実録・外道の条件』
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
264
労働(働きたく無いで御坐る)と対価(世に必要とされている証の様なもの)に関する考えを、小説の形で表現するとこうなるのか。表題作と『人間の屑』の短篇2篇。町田文學ムズ過ぎて。先ずは独特の言い回しですよね。初めはそこに「町田さん、またやってんな」って思っていた程度なのですけど、段々と「一体何処に向かっているのだか」って不安になり、話が進むに連れて、それは深まるばかりですよ。創作、事実、妄想、現実が入り混じる様で渾沌とするよ。文字で埋め尽くされたページも怖い。儂も、夫婦茶碗に茶柱を立てる人を目指します(謎)。2023/08/22
❁かな❁
198
わー♡何これー‼︎めちゃくちゃ読みやすくて面白いー♡初、町田康さんでしたがハマってしまいそう♫2編共ダメダメな男性が描かれてるが頭の中で色んなことが繰り広げられていて、してることはいい加減なのに本人はいたって真面目に思考を巡らせている!そこが何とも愛おしい♡母性本能くすぐられる感じ♡「ちゃわおっしゃー」は笑ってしまった!そりゃ誰もお願いしないよー!いつの間にか狂気じみていきスピード感があり爽快★両方共良かったが『人間の屑』の方が好み♡本当にダメ男なのに憎めないキャラ♡面白く切なく大好き♡町田康さんスゴイ♫2017/12/01
yoshida
121
再読。町田康さんの作品は独特のテンポ感、疾走感があり惹きつけられる。「夫婦茶碗」、「人間の屑」の2篇収録。どちらも妄想癖があり、刹那的に生きて仕事が続かない駄目な男が主人公。共通して妄想を実行する。その行動に驚き笑いそして引く。「夫婦茶碗」のちゃわウオッシャーは笑う。個人的には「人間の屑」が麻薬性があり読ませる。客観的に見れば主人公の清十郎の行動は屑だなと思う。小松の変貌はキツい。だが、それだけ小松は普通の人で、清十郎の酷さに人生が狂った絶望の影響が大きかったのだろう。ラストの疾走感に痺れる。また読もう。2021/05/05
yoshida
121
再読。中編が2つ。「夫婦茶碗」と「人間の屑」。どちらも共通して主人公がダメ人間。文章に独特のテンポ、疾走感があり読ませる。個人的には「人間の屑」が面白い。転がり込んだ小松に子供が出来ても働けず、小松の友達のミオへ転がり込む。で、ミオに子供が出来て結婚。再開した小松の変貌。。そりゃ変貌するよな。ラストの旅館からの木曾義仲よろしくの疾走感。たまに本棚から出して読みたくなる。2014/06/28
青乃108号
110
前の仕事をリストラされた俺は約三年、正業に就かず毎日寝て暮らし失業保険を食い潰しておったのだが、その折読んだのがこの本。大変心地良い。まるで自分の事の様な人間の屑。あはは馬鹿だなぁこいつ。馬鹿だなぁ俺。これじゃあアカンではないか、と主人公がチャワオッシャーになるのを見習い一念発起し俺もチャワオッシャーではないけども、まあ似たような仕事に就いて現在にいたる。ふとあの頃を思い出し遠い目をしていたり、ああ気分が沈む。なので再読。あはは馬鹿だなぁ、こいつ。馬鹿だなぁ俺。やっぱり何も変わっとらんのね。俺って。2021/11/11