新潮文庫
カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 516,/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101316321
  • NDC分類 673.8
  • Cコード C0195

内容説明

中内功率いるダイエーは、革命的な流通再編を断行、同業者との値下げ合戦にも次々と勝利し、事業を急速に拡大してゆく。そして気が付くと、ダイエーは日本最大のスーパーに成長し、中内は小売業界の帝王として君臨していた。だが、バブル経済が崩壊すると、中内ダイエーは空前の借金地獄に転落する―。社長交代、インサイダー疑惑、屈辱の臨時株主総会までを追加取材した最終決定版。

目次

第4部 挑戦と猜疑(「わが安売り哲学」;三島由紀夫と格安テレビ ほか)
第5部 膨張と解体(持ち株会社第一号とローソンの反乱;宮古の怪、福岡の謎 ほか)
第6部 懊悩と終焉(中内ダイエーの一番長い日;インサイダー疑惑の衝撃 ほか)

著者等紹介

佐野真一[サノシンイチ]
1947(昭和22)年東京生れ。出版社勤務を経てノンフィクション作家に。主著に、日本のセックス産業を描いた『性の王国』、無着成恭と教え子たちを追った『遠い「山びこ」』、読売グループを築いた正力松太郎の評伝『巨怪伝』、民俗学者・宮本常一と渋沢敬三の交流を描いた『旅する巨人』(大宅賞)、エリートOLの夜の顔と外国人労働者の生活、裁判制度を追究した『東電OL殺人事件』、出版不況の現場をルポした『だれが「本」を殺すのか』など多数
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感想・レビュー

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つちのこ

6
下巻。1983年頃、再販維持法によるダイエーの特売戦略に対抗していたメーカーに勤めていた私は、新たに出店したダイエーの店舗で偶然に中内氏を見たことがある。すでに社長を退いていたが、オープン前の店舗の売り場のチェックに来ていたのだ。大名行列のごとくスタッフを引き連れ、指示しながら売り場を見て回る姿には、近寄りがたいオーラが漂っていたことを覚えている。ダイエーが4兆円企業を目指していた勢いのある頃の話である。今や、カリスマの幻影は王国の衰退とともに過去のものになってしまった。(2013.1記)2013/01/19

Ikuto Nagura

5
「中内はいまでもあの戦争を根底からひきずった、精神の傷痍軍人とはいえないだろうか。相変わらず下士官的発想で、突っ込めえ、突っ込めえでやっている。まともな人間なら辞めていくのが当然です」これって中内とダイエーだけじゃない。下士官も指揮官も兵卒も、日本人が世界と渡り合うための唯一の戦法が、これなんじゃないか。脱亜入欧だ~、突っ込めえ、突っ込めえ。植民地を獲得するぞ~、突っ込めえ、突っ込めえ。高度経済成長だ~、突っ込めえ、突っ込めえ。一億総活躍だ~、突っ込めえ、突っ込めえ…。まともな人間ならどうするのが当然か。2016/03/31

秀玉

4
私から見てただただ悔やまれるのが、最終の会社経営。能力の無い息子に継がせるために、これまで支えてきた弟を切ったり。無謀な資産形成したり。ホークスもそうだったらしい。夢だからと強引に進めた。一心不乱に突き進んだ男は、そのカリスマ性であらゆる人を引き入れてきた。その仲間が死に、去り、そして自身も老い、身内の保身に走り、経営が出来なくなっていることに気づかずに終末を迎える。寂しい人生かな。なんとかリテイリングも息子に継がそうとしている、自動車のアキオ君も権力を越えてしまっているし。この方の息子も継ぐのだろう。2021/07/13

たつや

3
一大帝国築いたダイエーが、没落していく過程が綿密な取材をベースに描かれている。多少、中内功さんを叩きすぎの感もあるが、よくも悪くも戦後の経済成長、バブル崩壊など日本経済の歴史に乗った人生だったと思う2021/01/05

さっと

3
「死を前にして、「天皇陛下万歳!」とも「お母さん」とも叫ばず、うす暗い裸電球の下でグツグツ煮えるスキ焼きを囲む光景が甦ってきたというところに、中内という男の独特の位相があった。腹いっぱい食う、腹いっぱい食わせることが、戦後の中内の飽くことのない夢だった」―何度も繰り返されるフィリピン戦線の飢餓体験と、業績悪化後も続いたダイエーの飽くことのない拡大路線のリンクが印象的。戦争体験ってそこまで人を変えるのかと思ってしまうところに、何でもそろっている時代に生まれた平和ボケ世代の鈍さが浮き彫りにされてうめいた。2015/10/05

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