出版社内容情報
メンバー不足の自転車部に勧誘された正樹。走る楽しさに目覚める一方、つらい記憶が蘇り……青春が爆走する、ロードレース小説。
ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのに―?走る喜びにつき動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春小説。
内容説明
ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのに―走る喜びに突き動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春長編。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969(昭和44)年大阪府生れ。’93(平成5)年『凍える島』で鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。2008年『サクリファイス』で大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
258
ひょんなことから、右も左も知らない世界の自転車部に入部した正樹。正樹の背負った過去、櫻井の背負ってる過去が共鳴したのか、ロードレースを通して、先輩とはいえ、櫻井といつの間にか奇妙な友情が生まれ、いい好敵手の関係。まさにキアズマのタイトルにふさわしい。サクリファイスシリーズのメンバーもちょっとだけ友情出演して面白いんだけど、個人的には、村上のレース復帰と隅田のマネージャー的な活躍を見てみたかったのと、レースのスピード感がもっと欲しいと思ってしまって、物足りなさを感じてしまった。2020/05/29
yoshida
235
サクリファイスシリーズ4作目。ミステリ色はなく青春ものに仕上がっています。レースの緊迫感や高揚感、登場人物それぞれの持つ葛藤や焦燥感が丹念に描かれています。主人公の正樹は柔道で鍛えた体力とモペットで培った脚力で予想以上の活躍をする。エースの櫻井、正樹、それぞれに自身の過去を抱えながらも走る姿が印象的でした。しかし正樹の活躍があまりにすごすぎて驚く。競技人口が少ないから、いきなり活躍できるのか。スポンサーも着き、プロチームにも声を掛けられる事は現実との解離を感じ、やや興ざめ。個人的にはやや物足りなく感じた。2017/09/30
しんたろー
206
『サクリファイス』シリーズに名を連ねているが、大学生・岸田正樹を主人公にした番外編…柔道で辛い過去を持つ正樹がロードレースに目覚めて無気力人間から復活する物語は、櫻井という先輩のキャラが際立っていて、二人主役とも思えるし、周囲のキャラも巧くて読み易い。競技用自転車の構造や魅力を今までで一番判り易く描いているので、改めて知ることもできた。シリーズの名脇役・赤城がカメオ出演なのも嬉しかったが、正樹や櫻井がオッジに参加したり、チカと絡む続編を書いてくれると本作がシリーズにある意味が深まると思うので、続編を熱望!2020/12/10
佐々陽太朗(K.Tsubota)
202
やはりこのシリーズに外れなし。ヨーロッパでは紳士のスポーツをいわれるロードレースの醍醐味が随所に盛り込まれており、特にエースとアシストの関係において表れるこのスポーツの精神性の気高さに感動を禁じ得ません。自転車競技において求められるのは単にフィジカルな強さではなく、精神性の高さ、人間性の深みにあるのだと改めて感じた次第。エースが背負うものの重さは、エースのために犠牲を払うことを厭わないアシストの思いの深さだ。ビジネスにおいても、いや大げさなようだが人としての生き方を考えるとき、忘れてはならない視点だろう。2016/03/22
小梅
198
近藤史恵さんの自転車シリーズ、やっぱり読みやすいですね〜グイグイ引き込まれました。2016/05/03