内容説明
会社が仕事を奪うなら、奪い返すしかない―石川島播磨重工業は、自社の設計・物流のために開発した情報システムを社外にも売る事業を進めていたが、一転して撤退を決める。しかし、事業の意義と将来性を知り抜いた碓井優を中心とするシステム部門の面々は、会社を捨てて起業することを決意し、水面下での戦いを始めた。80年代に経済界を震撼させた「集団脱藩」事件の実名実録小説。
著者等紹介
高杉良[タカスギリョウ]
1939(昭和14)年、東京生れ。化学専門紙記者、編集長を経て、’75年「虚構の城」で作家デビュー。以来、経済界全般にわたって材を得て、綿密な取材で裏打ちした問題作、話題作を次々に発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
74
石川島播磨重工からスピンアウトした人々の実話を元にした小説。個人的には好きなタイプの話なのだが、どうも上辺だけなぞっているような感じがしました。残念ながらもりあがらず、今一つでした。★★
ASnowyHeron
32
これが実際の事件の実名実録小説とは驚きだ。よく出版できたものだと感心もしてしまう。普通に企業小説を読んでいるようだった。いくら志があっても、現実には生活があり、様々なしがらみがあり、難しい。主人公の人柄と運、成功者の魅力はきっと過去も未来もこうなのだろう。2017/04/28
誰かのプリン
22
自分たちが誇りを持って働いている仕事がなくなる。しかも、どの部署に配属されるのかわからない。自分に置き換えたら、本書のように一流企業をスピンアウト出来るのか決断出来ないなぁ。2018/03/18
reo
20
IHI下山専務が打ち出した「外販事業」からの撤退。当時IHIの年商は7千億円経常で百億の黒字。電算システムの外販で2、3億稼ぐより、その技術力を内部の合理化に振り向けたほうが合理性があると。そしてこの決定に反発した、碓井を中心とするシステム部門80名はIHIを辞めコスモエイティというSES会社を設立する。その後SES業界の発展には目を見張るものがあるが多大な設備投資や過当競争に晒されている現状をみるにつけ、当時の会社側の決定は間違いだったとも思えないのだが…。でもまあ男のロマンっていやあそうですな。2018/08/24
mattu
18
終身雇用が当たり前の時代に、リスクを侵してスピンアウトする。現代以上に難しかったでしょう。もし、今なら分社化かもしれないですね2021/06/18