内容説明
隣国サンガルの新王即位儀礼に招かれた新ヨゴ皇国皇太子チャグムと星読博士シュガは、“ナユーグル・ライタの目”と呼ばれる不思議な少女と出会った。海底の民に魂を奪われ、生贄になる運命のその少女の背後には、とてつもない陰謀が―。海の王国を舞台に、漂海民や国政を操る女たちが織り成す壮大なドラマ。シリーズを大河物語へと導くきっかけとなった第4弾、ついに文庫化。
著者等紹介
上橋菜穂子[ウエハシナホコ]
1962(昭和37)年東京生れ。川村学園女子大学准教授。オーストラリアの先住民族アボリジニを研究中。著書は、『狐笛のかなた』(野間児童文芸賞)の他に、『精霊の守り人』(野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞)、『闇の守り人』(日本児童文学者協会賞)、『夢の守り人』(路傍の石文学賞)、『神の守り人 来訪編・帰還編』(小学館児童出版文化賞)などがある。2002(平成14)年巖谷小波文芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zero1
475
大切なのは国か?それとも民か?第4弾はシリーズ屈指の面白さと大スケールに驚く。まずサンガル王国の女性たちの強さ。新王即位の儀で起きた事件は陰謀が背景に。成長したチャグムの苦悩と成長に涙。ナイーブさは為政者として不適格かもしれない。しかし彼を支持する声が私には聞こえる。たとえそれが破滅への道だとしても。この巻には登場しないが、バルサと過ごした時間で大切なものを彼は学んだ。南から侵攻する帝国と迎え撃つ連合軍の対決。大スペクタクルはここから始まる。再読なのに充実した一冊!次は「神の守り人」。2020/02/06
抹茶モナカ
420
新ヨゴ皇国の皇太子チャグム少年が主役になって、国際関係の問題の渦巻く世界が立ち上がった作品。ワイルドなバルサも、思慮深いトロガイも、優しいタンダも登場しない。読んでいて、物凄く、海を感じた。解説を読んでいて、そう言えば、『守り人』シリーズは母系社会の世界観だな、と気付いた。著者が女性だから、当然、フェミニズムは出て来るだろうな、ふむふむ、と思った。さて、この世界観はどう発展して行くのかな、と、本を閉じて思った。2015/06/28
absinthe
287
展開少し遅いかなと思ったのは前半だけ。後半はお約束の時間区切られ快速エンターテイメント。今回は陰謀渦巻く宮廷劇。absintheはこういうの大好き。『王妃マルゴ』や『砂の惑星』みたいに、各人各様の思惑があって、それぞれ反目しあいながら協調もする。この兄弟にどこか義経と頼朝の関係を見た。なんと今回、バルサが登場しない。それでも面白いんだけれどもちょっとさみしかった。武器を手に取る直接戦闘でなく、罠をめぐらせあう陰謀劇は女だからと馬鹿にできない。それどころか男より恐ろしい。2019/10/06
射手座の天使あきちゃん
285
シリーズ第4作 「精霊」、「闇」、「夢」と続いたバルサ主人公の「守り人」から、チャグム主人公の「旅人」に・・・ はたして彼は、どこに向かって旅をするのでしょうか、少年の純な心を失わぬ偉大な王に? それとも呪術も使いこなすマジカル帝王に?(笑) 舞台もサンガル王国・タルシュ帝国と広がったし、サルーナ王女の登場でチャグムとのトキメク恋の予感も、ますます目が離せないですぅ!! <(^_^;2011/11/09
kariya
263
中断していたシリーズ読書を再開。今までと趣を変えて、海と鮮やかな色に彩られた隣国は美しく、国という概念を軽やかにすり抜ける船の民の姿は楽しい。しかし豊かで闊達な国へと忍び寄る陰謀の影に、見違えるほど成長したチャグムが立ち向かう。どうしてもチャグムやスリナァに肩入れして読んでしまうので、身分の低い人間は駒として見るカリーナや王の考え方には不快感を覚えるけれど、為政者の立場からは全くの過ちではないのが哀しい。でもチャグムは危うくてもどちらの目線も持ち得る帝になるのだろうな、と期待しつつ次巻へ。2009/07/26