内容説明
キリスト教文化の象徴「聖母」の姿を聖書の中に探すと…。処女降誕、最後の晩餐など、広く西欧文学や美術の主題となり、日本人の心にも影響を与えた場景。それらが何故、どのように記されたのかを原典にたどり返し、記述の歴史的意味、信仰が希求し続けてきたものに光を当てる。混迷の度を増す世界と、否応なくその渦中に巻きこまれてゆく日本の行く末をも見すえた、著者最後の論考。
目次
裏切者ヨセフスの役割
マリアは“処女”で“聖母”か
「ヨセフ物語」は最古の小説
結末なきヨブの嘆き
『雅歌』の官能性
過越の祭と最後の晩餐